ロヴロ・フォン・マタチッチによる巨大なモーツァルト&ベートーヴェン ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮NHK交響楽団 モーツァルト 交響曲第25番&38番「プラハ」、ベートーヴェン「大フーガ」
NHK交響楽団の名誉指揮者として一時代を築いたロヴロ・フォン・マタチッチ。旧ユーゴスラビア(現在の地理でいうとクロアチア)出身という、ヨーロッパ音楽界では不利な出自でありながら一部で高い評価を受け、日本のクラシック音楽界においてはウォルフガング・サヴァリッシュと並ぶかそれ以上の貢献を行いました。
1985年に亡くなっており、N響との録音も3点ほどしか残さなかったため、実演に接したことのない人には実力を確かめる機会が少ない指揮者でしたが、21世紀に入ってからNHKが過去の演奏会の録音をキングレコードやAltusレーベルからリリースすることを許し始めたため、マタチッチの力量を確かめることが可能になりました。
マタチッチのレパートリーはドイツ正統派であり、特にブルックナーには定評があって、日本でのブルックナー人気向上に多いに貢献しました。
スケールの大きな演奏をするというイメージから、マタチッチ指揮のモーツァルトというとイメージ的にピンとこなかったのですが、実際は巨大なスケールを保ったまま典雅さも兼ね備えているという独自の名演であり、小編成、中編成で演奏される愛らしいモーツァルトとは異なる偉大なモーツァルト象が浮かび上がります。
疾風怒濤の台風版ともいえる交響曲第25番小ト短調、マタチッチの風貌からは想像もつかないほど典雅な交響曲第38番「プラハ」などは唯一無二の魅力を湛えています。
得意レパートリーだったベートーヴェンも流石の名演。
昨今の演奏とは違ったタイプのモーツァルトを聴きたい方にはお薦めのCDです。
ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮NHK交響楽団 モーツァルト 交響曲第25番&第38番「プラハ」、ベートーヴェン「大フーガ」(キングレコード)タワーレコード
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