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2014年2月19日 (水)

コンサートの記(127) 広上淳一指揮 京都市交響楽団みんなのコンサート2013~さあ、クラシックファンをはじめよう~「シンフォニックドリーム」京都右京ふれあい文化会館公演

2013年6月30日 京都右京ふれあい文化会館にて

午後2時から、京都右京ふれあい文化会館で、京都市交響楽団みんなのコンサート2013~さあ、クラシックファンをはじめよう~「シンフォニックドリーム」を聴く。指揮は京都市交響楽団常任指揮者の広上淳一。
前半は、京都市ジュニアオーケストラと京都市交響楽団の楽団員との共演、後半が京都市交響楽団のみの演奏となる。
京都市交響楽団みんなのコンサートは、京都市内にある文化会館を会場に廉価で行われるコンサート。今日のコンサート料金は800円である。但し、京都市内にある文化施設で音響設計が行われているのは2013年現在では京都コンサートホールだけであり(音響設計がなされていても、響きの評判は余り芳しくないが)、他はほとんど残響のない多目的ホールで演奏会が行われることになる。

京都右京ふれあい文化会館に来るのは10年ぶり2度目。前回は、鄭義信の作・演出による二人芝居「杏仁豆腐のココロ」を観ており、面白かったのを覚えている。当時はまだ、右京ふれあい文化会館は家から行くには不便な場所だったが、その後、京都市営地下鉄東西線が太秦天神川駅まで延伸し、太秦天神川が右京ふれあい文化会館の最寄り駅となったため、交通の便は飛躍的に上がった。

子供にも聴いて貰おうということで、基本的には家族向けのコンサートである。にしては、後半のプログラムは通好みであるが。

そのプログラムであるが、前半は、モーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」序曲、ベートーヴェンの交響曲第5番より第1楽章、ルロイ・アンダーソンの「フィドル・ファドル」、「シンコペーティッド・クロック」、「舞踏会の美女」。

後半はドビュッシー作曲、ビュッセル編曲の「小組曲」と、ドリーブのバレエ組曲「シルヴィア」。

後半はいずれもフランス音楽で、広上の指揮のフランス音楽を聴くチャンスである。

前半は京都市ジュニアオーケストラと京都市交響楽団の楽団員との共演と書いたが、京都市交響楽団の楽団員は各パートに一人程度。いずれも首席奏者が座る場所は京都市ジュニアオーケストラのメンバーに譲っており、京都市交響楽団コンサートマスターの渡邊穣が前半はコンサートマスターではなく、隣のフォアシュピーラーの席に座る。

モーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」序曲。京都市ジュニアオーケストラのメンバーはやはり経験的にも体力的にも未熟であるので、弦の音は薄めで多目的ホールと言うこともあって少しかさついて聞こえる。弦が薄いのに金管は音が強いのでバランスも悪くなってしまう。それでも音の造形美は広上の指揮だけに一定の水準には保たれている。

ベートーヴェンの交響曲第5番より第1楽章でも、京都市ジュニアオーケストラのメンバーの非力は否めないが、ドラマティックな音楽にはなる。

アメリカのヨハン・シュトラウスことルロイ・アンダーソンが作曲した3曲。「フィドル・ファドル」は速いパッセージが多いだけに楽団員の腕の見せ所が多い曲であるが、広上は京都市ジュニアオーケストラの技術に配慮して(本当に子供用のヴァイオリンを使っている10歳ぐらいの子がメンバーにいるのである)、京都市交響楽団で同曲を取り上げたときよりも遅めのテンポにしていた。
「シンコペーティッド・クロック」、「舞踏会の美女」は楽しい演奏。京都市ジュニアオーケストラはこれらの曲を演奏するには十分な力を持っているようだ。

 

後半は、京都市交響楽団のみによる演奏。京響もう一人のコンサートマスターである泉原隆志は降り番だが、フルートに清水信貴、クラリネットに小谷口直子とそれぞれ首席指揮者が参加している。オーボエは首席奏者の高山郁子ではなく、フランス人で車椅子のオーボエ奏者であるフロラン・シャレールが首席の位置に座り、イングリッシュホルン(コールアングレ、コーラングレとも呼ばれる)兼任の女性若手オーボエ奏者が横に陣取る。コンサートマスターは渡邊穣。

やはり前半とは音が全く違う。弦楽器群には厚みと輝きがあるし、金管もただ音が強いだけではなく、まろやかで多目的ホールでの演奏というハンデを全く感じさせない。京都市ジュニアオーケストラは比べられるのが酷に感じられるほどだ。

ドビュッシー作曲、ビュッセル編曲の「小組曲」は私も大好きな曲であるが、広上は洒落っ気と、繊細な感覚に富んだ音楽作りを行う。弦には透明感があり、木管楽器群は涼やか、金管楽器群は輝かしい音を生み出す。

ドリーブのバレエ組曲「シルヴィア」。エスプリに富み、且つ力強いという、日本のオーケストラとしては最高レベルの演奏であった。

広上は演奏終了後に、「私はここ(右京ふれあい文化会館)でやるのは初めてですが、2001年の完成ということで私の娘と同い年。ということで親しみを覚えます。京都市ジュニアオーケストラは2005年に生まれたので、今年で8歳。京都市交響楽団は1956年に出来ましたので、今年で、57歳。私が1958生まれで55歳。京都市交響楽団より2歳年下。ということで、京都市ジュニアオーケストラと京都市交響楽団は親子ほど年が違うわけですが、それぞれの演奏をお楽しみいただけましたでしょうか?(会場から拍手が起こる)。今日のようなコンサートもいいですが、皆様、是非、北山の京都コンサートホールにもお越し下さいませ」とアピールを忘れなかった。

広上は「それではもう一曲」と言って、アンコール演奏開始。同じドヌーブ作曲のバレエ音楽である「コッペリア」より“チャールダーシュ”。情熱的な快演であった。

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