観劇感想精選(137) 「壽三升景清」
2014年9月5日 京都四條南座にて観劇
午前11時から、京都四條南座で、九月花形歌舞伎・通し狂言「壽三升景清(ことほいでみますかげきよ)」を観る。十一代目・市川海老蔵の発案による新作歌舞伎である。歌舞伎の「景清もの」と呼ばれるものをまとめて通し狂言としたもの。脚本:川崎哲男&松岡亮、振付&演出:藤間勘十郎。音楽:上妻宏光、杵屋巳太郎&田中傳次郎。出演:市川海老蔵、坂東亀三郎、大谷廣松、市川道行、片岡市蔵、大谷友右衛門、市川右之助、市村家橘、片岡孝太郎、中村翫雀、市川左団次ほか。
今年1月に東京の新橋演舞場で初演され、この9月に舞台となっている京都での上演が行われることとなった。一ヶ所、中国の三国時代に場面と時が移るところがあるが、それ以外は基本的に京都府内が舞台となっている。
発案者である市川海老蔵が景清役。セット上の上手の柱に「壽三升景清」、下手の柱に「十一代目・市川海老蔵 相勤め申候」という看板が打ち付けられており、文字通りの看板公演である。
題に「三升」と入っており、これはいくつかの意味掛けが考えられるが、基本的には市川團十郎家(屋号:成田屋)の三升の定紋に由来する。劇中、小道具によって三升の紋が形作られる場面もある。市川海老蔵の発案ということで、「成田屋の定番とする」という意味も込められているだろう。
プライベートでは何かとお騒がせの海老蔵であるが、今日はベストの演技とは呼べないものの、私がこれまでに生で観た海老蔵の舞台の中でも上の部類と見て間違いないだろう。
作曲の上妻宏光が舞台上で演奏する場面があるなど、新しい試みに溢れている。また、阿古屋(片岡孝太郎)が花魁の姿に変身する間の繋ぎの前では、傾城達が、「ダメよ~、ダメダメ」、「どやさ!」、「ありのー、ままのー」など、流行語や今くるよ(京都市出身)の持ちネタなどを用いて受け狙いに行っていた。
巨大な海老の像を造るなどセットも凝っており(舞台美術:前田剛)、外連味を大いに見せる舞台となった。
歌舞伎であるが、新作ということでカーテンコールがあり、主要キャストは何度も拍手に応えてお辞儀を行い、最後は片岡孝太郎、中村翫雀、市川海老蔵が一人ずつ礼をした。
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