コンサートの記(176) 新妻聖子と京フィル「マイ フェイバリット ミュージカル~ミュージカル大好き!~」
2013年10月17日 京都コンサートホールにて
午後7時から、京都コンサートホールで、新妻聖子と京フィル「マイ フェイバリット ミュージカル~ミュージカル大好き!~」という演奏会を聴く。ミュージカルのトップ女優の一人である新妻聖子と、京都フィルハーモニー室内合奏団によるミュージックナンバーを中心としたコンサート。指揮は河内長野で7月に上演された歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」と「ジャンニ・スキッキ」でも指揮をしていた井村誠貴(いむら・まさき)。オペラやミュージカルで活躍している指揮者である。
曲目は、前半が、井村誠貴指揮京都フィルハーモニー室内合奏団の演奏で、ロッシーニの歌劇「セビリアの理髪師」序曲、チャイコフスキーの「四季」より10月“秋の歌”(編曲者不明)、ブラームスの「ハンガリー舞曲」第4番(編曲者不明)。ここからヴォーカルとして新妻聖子が加わり、「サウンド・オブ・ミュージック」より“サウンド・オブ・ミュージック”、「キャッツ」より“メモリー”、「レ・ミゼラブル」より“オン・マイ・オウン”、「ラ・マンチャの男」より“ラマンチャの男”。
指揮者の井村誠貴がマイクを手に曲目を紹介してから、演奏を始めるというスタイルであり、新妻聖子が加わってからは二人で曲目について紹介したり曲に関する思い出を語ったりする。新妻聖子は愛知県生まれであるが、11歳から18歳までは父親の仕事の都合上でタイで過ごしたという帰国子女である。タイでは首都バンコクのインターナショナルスクールに通っていたそうで、英語はペラペラ。そのため上智大学を卒業している。大学在学中から芸能活動を行っていたが、23歳の時に、5000倍の難関を突破して「レ・ミゼラブル」のエポニーヌ役を獲る。翌年には「ミス・サイゴン」のヒロイン、キム役にも選ばれ、以後は日本を代表するミュージカル女優として活動する傍ら、ストレートプレーにもいくつか出演している。東京には上智大学入学以降しか縁がないようであるが、性格は気っ風が良く、江戸っ子に近いものがある。
新妻聖子は黒いズボンの上に前が割れた赤いロングドレスという衣装で登場。これはスペインが舞台となっている「ラ・マンチャの男」を歌う時にドレスを開いて、闘牛士がマントを拡げた格好に見えるよう意識したものだという。
京フィルは、第1ヴァイオリン4名、第2ヴァイオリン3名、ヴィオラとチェロが2名ずつ、コントラバス1名という小編成。最初の曲である歌劇「セビリアの理髪師」序曲ではホルンが二度ミスを犯すなど、状態は今一つのようである。
新妻聖子は明るい声でのびのびとした歌声を披露する。
後半の曲目は、井村と京フィルのみの演奏で、チャップリンの「スマイル」(編曲者不明)、ビートルズの「オブラディ・オブラダ」(編曲者不明)、アンドリュー・ロイド・ウェッバーの「オペラ座の怪人」のテーマ(編曲者不明)。そして新妻聖子が加わっての、「オズの魔法使い」より“虹の彼方に”、「アンダンテ」(映画「アンダンテ-稲の旋律-」主題歌。作詞:新妻聖子、作曲は新妻聖子の実姉である新妻由佳子)、「レ・ミゼラブル」より“夢やぶれて”、「Time to say goodbye」。
オーケストラのみによる演奏は全て編曲者不明であるが、京都フィルハーモニー室内合奏団は独自の編曲による曲目を2000曲ほどレパートリーとして持っているという。なので京フィル関係者による編曲だと思われる。
後半は薄いピンク色のロングドレスに着替えて登場した新妻聖子は情感たっぷりに各曲を歌い上げる。全てマイクを使っての歌であったが、マイクなしでも通りそうな声である。
ちなみに新妻聖子の実姉である新妻由佳子は音楽家ではなく、普通の主婦だそうであるが(Wikipediaにシンガーソングライターとあるのは間違いのようだ)、ピアノが好きで、趣味で作曲もするため、聖子が書いた歌詞に由佳子が曲をつけたものを関係者に見せたところ、それが主題歌として採用されてしまったという。
新妻聖子と京フィルは、アンコールとして、ミュージカル「ミス・サイゴン」より“命をあげよう”と、新妻聖子のオリジナル曲である「私の星」を歌い上げ、演奏会は幕となった。
| 固定リンク | 0
コメント