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2015年5月16日 (土)

コンサートの記(192) クリスティアン・アルミンク指揮 京都市交響楽団 「モーツァルト 未來へ飛翔する精神・友情のホルン」

2014年11月19日 大阪・京橋のいずみホールにて

午後7時から、大阪・京橋の、いずみホールで、「モーツァルト 未来へ飛翔する精神・友情のホルン」というモーツァルト・シリーズの2年目第2回、クリスティアン・アルミンク指揮京都市交響楽団、シュテファン・ドール(ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団首席ホルン奏者)による演奏会を聴く。

曲目は、ダニエル・ケロッグの「弦楽のためのモーツァルトによる讃美歌」、以下は全てモーツァルト作品で、ホルン協奏曲第4番、ホルン協奏曲第3番、交響曲第36番「リンツ」

モーツァルトはホルン協奏曲という他の人が余り書いていないジャンルの曲目を4曲も書いているが、このうち第3番と第4番のホルン協奏曲は、モーツァルトの24歳年上のヨーゼフ・ロイトゲープのために作曲されている。演奏者を想定して書かれた曲である。超絶技巧が要求される曲で、モーツァルトが、楽譜に「それゆけブタ公」、「哀れなロバ公」などとイタズラ書きを行っていることでも知られている。ちなみにモーツァルトが楽譜にイタズラ書きを行っているのは極めて親しい間柄にあった人物に宛てたものだけであり、ロイトゲープとモーツァルトの関係の良好さを物語っている。

指揮のクリスティアン・アルミンクは、先週の月曜日に、NHK大阪ホールでNHK交響楽団を指揮したコンサートを聴いたばかり。N響への客演はレナード・スラットキンの代役だったので、本当は今日が初のアルミンク体験のはずだったのだが、立て続けにアルミンク指揮の演奏会に接することになった。今日のアルミンクは全曲ノンタクトによる指揮である。

今日の京響のコンサートマスターは泉原隆志。渡邊穣は降り番で、フォアシュピーラーには尾﨑平。今日の曲目にはフルートは登場しない。オーボエ首席奏者の高山郁子はオーボエが加わる2曲共に登場。クラリネット首席の小谷口直子は降り番である。
第1ヴァイオリン6人の室内オーケストラ編成での演奏。ドイツ式の現代配置である。

ダニエル・ケロッグの「弦楽のためのモーツァルトのよる讃美歌」。ダニエル・ケロッグは1976年、アメリカ生まれの若手作曲家。「弦楽のためのモーツァルによろう讃美歌」は2006年に初演された曲である。モーツァルトの合唱曲の中でも人気の「アヴェ・ヴェルム・コルプス」の動機を散りばめた、極めて美しい曲。冒頭の弦楽の響きは「天国的」という言葉が最も似付かわしく、その後も典雅な響きによる弦楽合奏が続く。

シュテファン・ドールをソリストに迎えてのホルン協奏曲第3番と第4番。
燦々と輝くような音色でホルンを弾くドールに、アルミンク指揮の京響は精緻なアンサンブルで応える。ホルンにとっては極めて難しい高音もドールは苦としない。

演奏終了後、客席からの喝采を浴びたドールは、メシアンの「峡谷から星たちへ」より第6曲“恒星の叫び声”を演奏。ミュートを生かし、音の遠近法を駆使した難度の高い曲であったが、ドールは軽々と演奏してみせた。

交響曲第36番「リンツ」。先週のN響との演奏会でも情熱的な音楽作りをしたアルミンクだが、今日のモーツァルトでも熱い演奏を繰り広げる。
最近では、モーツァルトというとピリオド・アプローチを行う指揮者の方が主流だが、アルミンクはピリオドの影響皆無のロマンスタイルによるスケールの大きな演奏を展開。ピリオドによるモーツァルトに比べると暑苦しい感じがしないではなかったが、演奏自体は見事といえるものだった。
京響の弦楽は上品さと力強さを兼ね備え、モーツァルの楽曲が持つ多彩さを丹念に解き明かしていた。

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