笑いの林(53) 「今くるよグランド花月~VIVA女芸人~」
2015年8月31日 なんばグランド花月にて
午後7時から、なんばグランド花月(NGK)で、「今くるよグランド花月~VIVA女芸人~」を観る。出演:今くるよ、なるみ、尼神(あまこう)インター、Dr.ハインリッヒ、桜 稲垣早希、青空、ニッチェ(マセキ芸能社)、アジアン、小泉エリ、日本エレキテル連合(タイタン)、ハリセンボン(以上、登場順)。そして今くるよ新喜劇「昨日の味方は今日の敵?」が上演され、酒井藍、宇都宮まき、金原早苗、いがわゆり蚊、森田まりこ、小寺真理、岡田直子、すっちー、松浦慎也、信濃岳夫が出演した(NGKサイトでの告知と異動あり)。
今くるよが相方の死を悲しんでばかりもいられないということで、女芸人を集めて華やかに行おうということで企画されたもので、漫才やコント、マジックには女芸人ばかりが起用されているが、新喜劇には男性俳優も出演する。女芸人のコーナーには吉本以外からも、マセキ芸能社のニッチェとタイタンの日本エレキテル連合も招かれている。
まず今くるよが登場。客席から拍手喝采である。なるみが司会として登場し、くるよについて、「皆さん、落ち込んでいるんじゃないかとご心配かも知れませんが、ちょっとうるさくて迷惑と思うくらい元気です」と冗談を交えて語る。今くるよは今日出演する女芸人達にあだ名を付けたそうで、なるみは白雪姫と名付けられたという。なるみが「では二人でお送りして」と言ったところで、くるよが「二人じゃなくて三人でしょ」と、なるみの妊娠ネタにも触れる。なるみは妊娠6ヶ月だそうだが、お腹の膨らみからいうと、くるよは妊娠13ヶ月くらいなどとギャグを言う。
ちなみになるみの発表によるとこの8月のNGKの来場者は11万人を超え、NGKの月間来場者最多記録を更新したという。今日も満員ではないが、1階席はほぼ全て埋まり、2階席も半分以上入っている。吉本は基本的に女性のファンが多いので(今日もNGK前のラジオ放送ブースに祇園の木﨑太郎さんがゲストとして出演されていたが、大勢の女性がブースを取り囲んでいた)女芸人しか出ない企画でこれだけ入るということはかなりの入りと考えて良いだろう。
トップバッターは、尼神インター。くるよが付けたあだ名は「二人観月ありさ」という謎のもの。
誠子が、「私、可愛い女の子が言いそうなこと言うことが出来る」と自慢するが、渚に「(可愛くもない)その顔で?」と言われる。誠子は基本的にブスキャラである(ただ思いっ切りブサイクというわけではなく、人並みといえば人並みである)。
誠子はまず、「私、あなたに出会ってキムタクって大したことないんだってわかったの」と言い、続いて「もっと攻めてきてもいいのよ」と大人のネタの方向に行こうとするが、3つ目は何故か「好きじゃなくて愛おしい」と意味がよく分からないことを言って(本当のことを書くと、私は違いはわかりますが、「愛おしい」などと言われたら引きます)渚に頭をはたかれる。
渚は今も元ヤン風の格好をしているが、そこで誠子は渚に不良の男の子を演じてもらい、自分は生徒会長の女生徒をやる。まず渚の髪形や衣装を注意し、「服装の乱れは心の乱れ」と言う誠子だったが、誠子自身も髪はボサボサ風で、ズボンもぴちぴちのものを履いているため、渚に突っ込まれる。その後、実は誠子は渚演じる不良男子が実は好きで、ぶりっこで誘ったりしたのだが、度が過ぎていたので、やはり渚に頭をはたかれて終わった。
残念なのは渚の演技力が異様に低いこと。他の芸人がそれなりに上手いので余計に目立った。
Dr.ハインリッヒ。双子の漫才コンビであるため、ザ・ピーナッツというあだ名が付く。
幸(みゆき)が、「現代美術について言いたいことがある」という出だし。幸は美術館に行くのが好きなのだが、ある現代美術の展覧会に行ったときに、前面黒塗りのカンヴァスの下の方に小さく爪の形のような白い絵の具が付いているだけという現代アートを観て、「これのどこがアートなのだ?」と頭に来たそうだが、その作者が美術展の会場に来ていたという。そこで本人に「どういう意図があるのか?」と聞いたところ、「僕はもう完成したものについては受け手に全て任せることにしているんだ」というようなことを言われたとのこと。幸はそうした態度を取る人は最近は良くいるが気に入らないという。そこで彩が「その作品は何を描いたものだと思ったわけ?」と聞くと。「前面真っ暗で闇のよう。世界がこの闇のように感じられることもあるかも知れない。でもよく見ると爪ほど大きさしかないかも知れないけれど希望がそこから差し込んでくるんじゃないかと」と自身の解釈を語って、彩に「あんたそれ正解ちゃうの?」と言われる。それでも幸は「いや違う」と言い張る。
同じ会場で今度は、白いカンヴァスに立方体が浮き出ている絵を観たという。ただよく観察してみるとカンヴァスに立方体を貼り付けただけのもの。やはり作者が会場にいたので、幸が意図を聞いたところ先程の作品の作者と同じようなことを言ったためカチンときたという。ただ彩に自身の解釈を聞かれた幸は、「カンヴァスに絵を描くだけが絵画じゃない。カンヴァスに何かを貼り付けるという発想をするということ自体がアートだ」と言って、再び彩に「それ正解ちゃうん?」と言われる。
最後は彩の、「それよりもみんなが気になっているのはあんたがキャンバスのことをカンヴァスということや」というセリフで終わる。
おそらくであるが、解釈の仕方や言葉の選び方、カンヴァスという言葉を敢えて用いているという点から、幸は実際、現代アートにはかなり詳しいのだと思われる。
桜 稲垣早希。あだ名は「安室ちゃん」であるが、なぜ安室ちゃんなのかは不明。安室奈美恵と早希ちゃんの共通点って何かあったかな?(その後、早希ちゃんはブログでくるよ師匠から「吉本の安室奈美恵」と命名されたことを明らかにしているが、理由はやはり不明である。ただ、吉本の女芸人でリリースしたCDが売れているのは早希ちゃんだけなので、そうした理由からかも知れない)。
以前、「浅倉南の漫談」の新作として概要を書いたことのある演目を少し長くしたものをやるが、NGKなので動きも大きく、早希ちゃんが語るのも全てセリフで(ストーリー性のない一人芝居を演じるようなもの)話術そのもので笑わせる芸ではないためコントに分類した方が良いかも知れない。タイトルは、おそらくヒントになったと思われる「闇金ウシジマくん」に掛けて「病み系アサクラさん」が良いかな。
出囃子も岩崎良美の「タッチ」にして浅倉南の格好をして出てきた早希ちゃん。「たっちゃん、なんで口利いてくれないの? かっちゃんが事故で亡くなって、かっちゃんの夢をたっちゃんと南が受け継いで甲子園に行ったのにどうして南に冷たくするの?」と悲劇のヒロインのふりをするが、「確かに、南、たっちゃんのケータイ覗いたよ。たっちゃんがお風呂入ってる時、トイレに行っている時、野球している時」と打ち明けて、実はとんでもない駄目女だということが次々に明らかになる。「確かに、南の方が先に浮気したよ。でも誘ったのはたっちゃんのお友達の孝太郎君の方よ」、「そりゃ、たっちゃんの財布からお金引いたよ。パチンコがやめられないの」。そして右腕に刺青にあるのがバレて、「昔、ヤクザと付き合ってたの。だから別れるのにお金いるんだ」。「違う! 疑ってるの? 違うよ! かっちゃんは車の前に飛び出した子供を助けようとして、南はその背中を押しただけで……、保険金かけて……、お金が必要だったんだもん」と最低レベルの女を演じる。パチンコ依存症ということで最後は、「たっちゃん、南をマルハンに連れてって」というセリフで終わった。
こういうキャラをやった時に書いて良いのかわからないが、演技はかなり様になっている。
青空。あだ名は「かんぱいちゃん」。今くるよ新喜劇の前説も二人が務めたのだが、今いくよ・くるよが毎年ひな祭りの日に行っていた女芸人の集まりで乾杯の音頭を取っていたのが二人だそうで、それで「かんぱいちゃん」になったのではないかということであった。ちなみに最初にひな祭りの集まりの乾杯の音頭を取っていたのはアジアンだそうだが、アジアンの東京進出で別のコンビに代わるも、そのコンビが解散してしまったため、ここ10年ほどはずっと青空の二人が乾杯の音頭を取っていたそうだ。
二人ともブサイクキャラなのだが、岡友美の方は結婚していて子供も二人いるという。ただ子供の顔は岡にそっくりだそうで、相方の須藤理恵に、「あんたの子供がこっち来ると、あんたがこっち来るようでどつきたくなる」そうである。須藤は元々、子供が余り好きではないらしい。ちなみに「二人とも37歳で」と自己紹介したが客席からの反応が薄く、「やっぱり興味ないようですね」で終わった。
ちなみに今くるよ新喜劇の前説によると、須藤は社会人野球の大ファンで、好きなチームはJR東海だという(須藤は京都市の生まれ育ちでJR東海とは縁もゆかりもない)。そして社会人野球好きが高じて、今は関西メディカルスポーツ学院硬式野球部という社会人野球チーム(専門学校生のチームであるが社会人野球に参加も出来る)のマネージャーも芸人との兼任で務めているのだそうだ。関西メディカルスポーツ学院硬式野球部は阪神タイガースの二軍の本拠地である鳴尾浜球場も使わせて貰っていて、全て二軍ではあるが阪神タイガースやオリックス・バファローズ、千葉ロッテマリーンズとも対戦したことがあるという。
一方の岡は、アイドルグループの追っかけ、それも女子アイドルグループの追っかけに夢中だそうで、世間ではよく知られていないアイドルグループに詳しいらしい。
マセキ芸能社から参加のニッチェ。あだなは金魚ちゃん。江上敬子(えのうえ・けいこ)が婚約したということで、客席から「おめでとう」の声が掛かる。江上敬子の見た目が金魚っぽいので付けたと、後でくるよが説明していた。
近藤くみこが、「二人とも元々太っていたわけではないんです。芸人になってから太り始めたんです。若い頃は今より20キロ痩せていて、上戸彩に似ているとよくいわれました」と語るが、「上戸彩に似ていた」は言い過ぎなので(勿論、敢えて盛っているのである)客席は無反応。江上が「そんなこと言っても通じないって」と突っ込む。
江上も昔は今より30キロ痩せていたらしいが、「その頃はよく小錦に似ているといわれました」と言って、近藤から「元から褒められてない」と突っ込まれるも、「今は更に似てるといわれます」とめげない。
近藤によると、「テレビに出ている人が細すぎるのがいけない。男も女もガリガリばっか」ということで、「ポッチャリチャンネル」というのを作りたいと語る。ポッチャリチャンネルでは「東京ラブストーリー」ならぬ「東京デブストーリー」が放送されていて、江上によると「カンチ、セックスしよう」というセリフが「ランチ、ガッツリいこう」に置き換わるらしい。「101回目のプロポーズ」ならぬ「101本目のマヨネーズ」では、「僕は死にましぇん」というセリフ(近藤が言うが素のままだったため江上に「せめて物真似してよ。普通に言う人初めて見た」と呆れられる)が、江上により、「僕は痩せません」という謎の主張(?)にチェンジする。
今度は「田舎に泊まろう」に近藤が出演するという設定で、江上が村人役になって畑を耕しているが、実は上半身裸で農作業をしているおばちゃんだったり、「一昨日、おじいちゃんの部屋空いたから、そこ泊まり」と謎めいたことを言われる。おじいちゃんが一昨日亡くなったこととその原因が明らかになっていって……
ここで芸人コーナーの前半が終了し、今くるよとなるみがトークを行う。くるよが何組かの命名の理由を話す。が、よくわかったのは「金魚ちゃん」だけで、なるみに「『二人観月ありさ』とありましたが、尼神インターの二人の顔、見たことあります?」と聞かれたりする。
なるみによると、「後半のメンバーのあだ名を考えている時にはもう疲れていたようで、かなり手を抜いたものになっております」とのことだった。
後半の先頭、アジアン。あだ名は「マスコットガール」。隅田美保は、出てくるときに後方の巨大ディスプレーに目をやって自分達のあだ名を確認する。舞台上に出るまであだ名を知らされていなかったようである。馬場園は「誰にでも当て嵌まるマスコットガール」と笑いながらではあったが、やや不満そうにも言っていた。
隅田美保は、よしもとぶちゃいくランキングで、3年連続1位になって殿堂入り、一方の馬場園梓はよしもとべっぴんランキングで3年連続1位になって堂々の殿堂入りと明暗が分かれたコンビである。ただ、馬場園も美人キャラではないため、よしもとべっぴんランキングは「世界一当てにならないランキング」と断言されてしまった。今も続いているが細々とであって話題になることはない。
馬場園は、隅田美保の名前について、「隅田保(すみだ・たもつ)でええやん。『美』はいらない」などとくさす(隅田美保はブサイクで有名であるが、日本の平均的な女性の顔の範囲には実は入ると思われる。少なくとも……、ここから先は書かないでおくか)。
強盗に遭ったとき、悲鳴を上げられないということがあるので、悲鳴の練習をする。隅田が「キャー」と悲鳴を上げる。澄んでいて高い良い声である。馬場園は「100点」と褒める。ただ、いざという時に悲鳴を上げられないと仕方ないというので、馬場園がひったくり犯に扮し、後ろから襲って、隅田が上手く悲鳴を上げられるかどうか試す。隅田は上手く悲鳴を上げることが出来た。
馬場園は「かたつむり」を演歌的に歌うことが出来るという特技があるというのでやってみる。メロディーはいわゆる童謡「かたつむり」のものではなく「ズンドコ節」から拝借している。最後は馬場園がエロネタを言って終わる。
小泉エリ。あだ名は「堀北真希」。エリさんは堀北真希に似てはいないのだが、今くるよとしては話題になっている女優さんなので誰かに付けたかったのだろう。
助手の女性二人がダンスをした後で、檻を引いて出てくる。助手が檻に赤い布を被せてからそれを引きずり下ろすと、エリさんが中に入っている。檻の後ろ側が思い切り前後に揺れているのだが、見えなかったということにしておく。
今日も輪を使った手品がメインである。その他、思い浮かべた数に掛け算、足し算、割り算、引き算をして数が必ず同じになる(数式を解くと簡単なものであることはわかるのだが)という芸を披露する。ただ、数が違うという人がいて、それは「計算違いです」ということになる(数学上、同じ数しか出ないはずなので、計算間違いであることは確かである)。
タイタン所属の日本エレキテル連合。あだ名は「レインボーガールズ」。由来はくるよになると「吉本と他の事務所間の美しい架け橋になって貰いたいから」だそうである。今日は朱美ちゃんではなく、中野聡子(なかの・そうこ)がエロじじい畑田さんに、橋本小雪が若い女性・小春に扮するコントである。エロネタを前面に出したものなのだが、これ、失敗作なのではないだろうか。まず演技力がない(より正確に書くと演技のバラエティーに乏しい)のが致命的だが、ありがちな展開とにオチになっていないオチで、これでは人気が長続きしない、少なくともテレビに出られなくなったのもむべなるかなである。
ハリセンボン。あだ名は「二人篠原涼子」であるが最早意味不明でハリセンボンの二人も苦笑いである。「『アンフェア』(篠原涼子の代表作)だからでしょうか」と近藤春菜が言う。近藤が観客から「角野卓造!」と呼ばれて、「角野卓造じゃねーよ!」と返すというお約束でスタート。
ハリセンボンは東京吉本の芸人なので、大阪で見る機会は余りない。ということで、まず自己紹介をするのだが、近藤は「近藤春菜といいます。『はる』は季節の春に、松嶋菜々子さんの『菜』」と言って、当然ながら客席から笑いが起こったので、「何が可笑しいんでしょうか。取りあえず、今笑った人の顔は覚えておきました」と続ける。
箕輪はるかは、「箕輪はるかといいます。私は良く『死神』に似ていると言われます。他に骸骨とか河童とか、全て実在しないもの」と言って笑いを取り、「私のこと、見えますか? 見えた人は今日無事に帰れるんでしょうか? なんばから出ることが出来るのか?」と不吉キャラになり切る。ちなみに箕輪は歯を白くすることに成功したそうである。
今くるよ新喜劇「昨日の友は今日の敵?」。一昨日、よしもと祇園花月で見たばかりのすっちー、金原早苗、信濃岳夫が今日も出ている(一昨日と同じ演目は今日が楽日で、終わってからすぐにNGKに駆けつけたらしい。また信濃岳夫は当初は出演の予定はなかったようである)。
吉本お得意の無茶なスケジュールが祟ったのかどうかはわからないが、今日は吉本新喜劇の俳優陣は間が今一つ。吉本新喜劇は元々稽古期間がかなり短いが、一昨日別の演目に出ていた役者が今日もいるということは稽古がほとんど出来なかった可能性もある。
「ロケみつ」の冒頭の自己紹介で、「吉本新喜劇の宇都宮まきです」と言っていた宇都宮まきであるが、私はイベントでは彼女の舞台はよく観ているものの、吉本新喜劇の女優としての宇都宮まきを観るのは初めてである。宇都宮まきは吉本新喜劇のヒロイン役であるが、出ているのはNGKのみで、おそらく祇園花月での吉本新喜劇に出たことはないはずである。大阪の朝の生放送のテレビ番組で、月-金で司会をしていたため、番組が終わってから京都に向かっても12時30分開演の公演にはまず間に合わないということも影響していたであろう。
旅館花月と向かいのみやげもの屋が舞台。旅館花月の売りは露天風呂で、「戦国時代に武将がこの湯で傷を癒した」という言い伝えがあるという。いがわゆり蚊と岡田直子が旅館花月に泊まりに来て、従業員の宇都宮岳夫(信濃岳夫)が応対し、露天風呂の宣伝をするのだが、岳夫は岡田のことをいがわのペットだと勘違いする。なお、普通は冒頭に出てきた人が後にも出てくるのだが、いがわゆり蚊と岡田直子の二人はその後のストーリーには全く絡まず、出番も最初の5分程度だけであった。
岳夫が失礼なことを言ったので岡田は怒るが、女将の宇都宮まきが出てきて何とかなだめる。その後、太めの女優で、今日は座長の立場にもある酒井藍が登場してお決まりのギャグをやることになったのだが、まきさんがセリフを間違えたため、言い直したがギャグが冴えないという結果になってしまった(まきさんが本当は「あんたなんかただのブタよ」と言って酒井がブタの真似をするというギャグだったのだが、「あんたなんかただのデブよ」と言ってしまい、「あんたなんかただのブタよ」と言い直してから酒井のギャグになったため間延びしてしまった)。
向かいのみやげ物の主人である金原早苗と宇都宮まきは高校のソフトボール部のチームメイトであったが、高校最後の試合でエラーをしたため、会えば喧嘩という仲になってしまっている。ちなみに双方ともエラーをしたのは相手だと思い込んでいる。
旅館の女将とみやげもの屋の主が喧嘩中ということもあり、岳夫と早苗の妹である金原真理(小寺真理)は実は恋仲なのだが、二人の関係を誰にも打ち明けられないでいる。一方、旅館花月に野菜を運送している森田まりこ(まきと早苗の後輩で同じソフトボール部に所属していたという設定)は岳夫に一方的に恋している。岳夫に告白するまりこだったがあっさり振られる。
そこへ、吉本融資の社員であるすち子(すっちー)と松浦真也が来る。二人は「邪魔するで」と言い、岳夫に「邪魔するなら帰って下さい」と言われて「あいよ」と答えるも踵を返さず、舞台下手から出てきて舞台を横切り、上手袖にはけていく。岳夫が「え? そのパターン?」と驚く。二人は今度は上手から出てきて下手に向かって歩いていく。
岳夫に「何しにきたんですか?」と言われたすち子は「すち子飴を投げにきた」と言って、客席に飴をばらまくが、早苗の父親が1000万の借金をしていたのでそれを取り立てにきたという。すち子は「夜までに用意しておけ」と言うが、すち子によると、昼は午後4時10分までで、午後4時11分からは夜と細かく決まっているそうである。
1000万円という高額な金を短時間で集められる当てはない。酒井が旅館の浴槽改良のためのお金を使えないかと提案するが、まきは当然ながら断る。
再び、すち子と松浦がやって来る。更に吉本融資の社長である今くるよも登場。くるよはサングラスをして出てきたのだが、すち子に「整形し立てのマイケル・ジャクソンですやん」と言われ、松浦のギターに合わせてマイケル・ジャクソンのダンスの真似をするも、ムーンウォークがただの後ずさりになったり、その他の場面もマイケル・ジャクソンの踊りを把握していなかったりする。
今くるよは、早苗と真理を見て、「浅田舞と浅田真央」と勝手にあだ名をつけてしまう。すち子が早苗に「3回転ジャンプやれ」と無茶振りし、早苗もそれに乗るが、1回転ジャンプを3回繰り返しただけでどうにも冴えない。すち子は真理には「リンク上の花拾う女の子のスケーターやれ」と振るが、真理も特に面白いことはやらず、場が繋げない。
最後は、まき、早苗、まりこの元ソフトボール部のチームメイトの友情にいくよがほだされて話は丸く収まるのだが、ご存知のように今いくよ・くるよは高校時代共にソフトボール部でチームメイトであり、ソフトボール部の友情の話ということで、脚本自体は不出来の部類に入るにも関わらず、今いくよの顔が自然に浮かび、様々な感情や記憶が入り交じりすぎて名前を付けることは不可能だが、悪くはないカオスの気分になった。
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