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2015年9月 4日 (金)

武藤貴也氏の本当の問題

武藤貴也氏のWeb上での発言が問題視されていますが、何が本当に問題なのかは余り伝わっていないと思われます。なぜ自民党内からも武藤氏への批判が起きたのでしょうか。彼は「戦争に行きたくない」とはっきりと書いて、そうした考えが我が儘だとの趣旨のことを述べました。これは自民党からしてみれば論外の失言です。安保法案に賛成している人は「極東有事」のことを念頭に置いていると思われるのですが、その場合は日本領土および領海、領空が危機に晒される可能性があるのに、デモをしている人たちがお国のために「戦争をしたくない」と思っているのがけしからんと書くべきです。しかし武藤氏は「戦争に行きたくない」と書いてしまった。デモをしている人達は「戦争をしたくなくて震える」のように「戦争をしたくない」という言い方を主に用いているのに、武藤氏は「戦争に行きたくない」と書いてしまいました。口を滑らせたのです。「戦争に行く」という趣旨の言葉は他国に出向いて戦争を行うということを想定していなければ出てきません。これは自民党が自衛隊の海外派兵、それも支援などではなく戦闘を前提としていることをばらしてしまったことになり、党としては看過できない大失言です。あまつさえ安保法案には「領土」や「領空」「領海」という絶対に書かれていなければいけない言葉が一度も出てきません。そうした単語を出さずにアメリカに接近(どうせアメリカが起こして泥沼化している戦争の後始末を押しつけられたり、アメリカが起こす戦争の片棒を担がされる可能性が高いと思われますが)しようとしていました。ところが武藤氏の発言は背後から味方に弾を飛ばすようなもので、自民党としては怒り心頭に発すあってはならない失言です。これが武藤貴也氏の失言の最大の問題点なのです。

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