笑いの林(56) 「ダイナマイト関西2015 ~東西対抗団体戦~」
2015年12月20日 なんばグランド花月(NGK)にて
午後7時45分から、なんばグランド花月(NGK)で「ダイナマイト関西2015 ~東西対抗団体戦~」を観る。大喜利のイベント。先に書いておくが早希ちゃんが出るわけではない。R藤本がニコニコ生放送「新生紀ドラゴゲリオンZ」で告知していたのでイベントを知ったのだが、R藤本一人だけを見に来たのではなく、出演するメンバーが魅力的なので観ると決めたのである。ただ、開演時間が遅い上に上演時間も長いので、大阪での公演ではあるが、終演時間には京都行きの京阪終電はとっくに出てしまっている。というわけで大阪に泊まる必要がある。京都に住んでいるのに大阪に泊まるというのも馬鹿らしいが、泊まる機会が滅多にない大阪のホテルがどんなものか見ておきたいという気持ちも常にある(書くまでもないことだが、京都にはどんなホテルがあるのかにも興味はある)。幸い、なんばから地下鉄で一駅の浪速区(なにわく)桜川に安めのホテルが見つかったので、そこに予約を入れておいた。
「ダイナマイト関西2015 ~東西対抗団体戦~」であるが、東西というのは東日本と西日本ではなく、東京吉本所属か大阪吉本所属かでもなく、NGKよりも東で生まれた人は東軍に、西側出身の人は西軍になるという、余り聞かない種類のもの。というわけで大阪府内でも東西に分かれ、大阪府高槻市出身のシャンプーハット・こいでは東軍に入る。大喜利の出演者で最も東で生まれた人でも、滋賀県出身のダイアン・西澤止まりで関西出身者になるため、「東西」と聞いて普通に連想する「東西」にしてしまうと「東」の人がいなくなり、対抗戦自体が成り立たない。
ちなみに、西軍は玄武チーム(玄武コーナー)、東軍は白虎チーム(白虎コーナー)という別名を持っているが、玄武は北の守護神、白虎は西の守護神でチーム名と方角は一致していない。何故なのかは不明。
大喜利の団体戦であり、東軍、西軍ともに5人ずつで戦う。武道と同じで、先鋒、次鋒、中堅、副将、大将を決めて戦うが、1対1ではなく、勝ち抜き戦であり、先鋒が5連勝すれば一人だけで自軍を料理に導くということも可能である。出演者(「選手」と呼ばれる)には予め5ポイントが与えられ、大喜利の出来が良いと判定されると相手から1ポイント奪うことが出来るという減点方式。判定は3人の審判によって行われる(具体的に誰が審判しているのかは不明)。まずい大喜利をしてしまうと自身のポイントを1つ失うという自爆方式も採用されている。
東軍出演者は、先鋒が麒麟・川島明、次鋒がシャンプーハット・こいで、中堅がダイアン・西澤裕介、副将は笑い飯・西田幸治、大将がバッファロー吾郎・竹若元博である。
選手達は、客席の通路を通って舞台に上がる。私はイベントを知ったのが遅かったため今日は2階席で観ていたのだが、麒麟・川島などは観客とのハイタッチに気軽に応じているのが見えた。
西軍は、ケンドーコバヤシだけが登場。他の出演者が断りのビデオレターを送ってきたので、それが流されて、ケンドーコバヤシが先鋒としてたった一人で戦うという、必要のない小芝居の後で、他の芸人が登場する。今日はこうした下手な小芝居や演出が多いため、終演が遅いということもあって付き合いきれずに席を立つお客さんも結構いた。終演時間が遅いため、18歳未満入場お断りのイベントであり、いくら「お笑いの公演だから」と割り切っていても子供騙しに付き合う必要はないとも感じられる。私は大阪のホテルに予約を入れていたので、最後まで観た方が得になるため中座することはなかったが。
西軍は、先鋒がケンドーコバヤシ、次鋒がR藤本、中堅はヤナギブソン、副将に次長課長・井上聡、大将がお~い!久馬である。
司会は浅越ゴエ、プロデューサーはバッファロー吾郎・Aである。
大喜利の試合時間は8分であるが、考えている間は場が持たないため、他の出演者が影アナ(影トークと書いた方が適当であろうか)を行う。
本格的な大喜利を観るのは2度目になると思うが、前回観たのは2011年の秋のはずであり、久しぶりに接する大喜利公演となる。
やはり大喜利というのは難しいもので、大笑い出来るものはなかなか出ない。笑えるのだけれど意味不明の回答があったり、出来はいいのだけれど笑いに繋がらない答えもあったりする。基本的には直球勝負では笑いにならないので変化球パターンか進化型か裏読みの3種類に分かれるわけだが、バリエーションは無限のように見えて実はそれほど多くはないというのも難しいところである。
「この言葉が今年の流行語だったら嫌だな」というお題に麒麟・川島は、「こんばんは」と直球勝負に出たが笑いには繋がらなかった。シャンプーハット・こいでのように最初から自爆狙いの人もいる(自爆覚悟の回答をして本当に自爆した後で、「松田聖子のディナーショーなのにおそろしくつまらなかった。その理由は?」というお題に「隣で志茂田景樹がずっと踊っていた」と答えて、相手のポイントを一つ奪う)。
笑い飯・西田が回答者となった時には、「友達がおらず、寝たふりにも飽きた高校生が休み時間にやることは?」というお題が出て、高校時代は根暗だったことで知られる麒麟・川島が影アナで、「これは僕と西田さんのためにある問題ですね」「回答ではなく告白ですね」と語る。ちなみに笑い飯・西田は奈良女子大学付属高校の出身であるため、今日も西田は出身校を笑いのネタにされていたが、奈良女子大学(かつての国立大学、現在の国立大学法人である)附属高校は共学の進学校であり、有名OBには八嶋智人、松村武、森見登美彦らがいる。ちなみに京都造形芸術大学時代に授業公演で共演した子に奈良女子大学付属出身の人がいたが女の子であった。出身高校を聞いて、「ああ、八嶋智人の後輩なんだ」と言ったら「よく知ってますね」と言われたけれど。
西田は、「眼力で机の表面が削れるかどうか実験する」、「机の引き出しに手を入れて、左手と右手の指一本ずつのバトル」と回答して、相手のポイントを奪うことに成功する。麒麟・川島は「実話ですね」「ドキュメントを見ました」とコメント。ちなみにヤナギブソンは「教室にDJを呼ぶ」と回答して退けられたが、川島は「発想が友達たくさんいる人のものですね」「友達がいない人の気持ちがわからないんちゃいます」とコメントする。
次長課長・井上は学力が今ひとつだそうで、麒麟・川島の影アナによると「『好き』という漢字が書けず、思い出したと思ったら『汝』という字だった」そうである。川島は、「『僕は君のことが汝』じゃ意味分からないですよね」と続けた。
ちなみに、お~い!久馬は今日は体調が悪かったそうだが、「北島三郎が電話の相手に激怒。さて、なんと言った?」というお題に、「郎は朗らかな方じゃないって!」、「Hey! Hey! Hoo!(ヘイヘイホー)」、「男子100m走の記録が急に出にくくなった。その理由は?」に「12秒3(ジャスト)で走らなければならない」といった面白い回答をしていた。
試合は大将同士の戦いまで続き(演出上そうなる、というよりならないとお客さんが納得しないわけだが)、最終的には東軍が勝利した。
本編で終われば京都まで帰れる時間であったのだが、その後にエキシビションマッチがあり、玄武側としてバッファロー吾郎・A、野性爆弾・ロッシー、モンスターエンジン・大林健二、藤崎マーケット・トキ、ヒューマン中村の5人が、白虎側としてモンスターエンジン・西森洋一、かまいたち・山内健司、藤崎マーケット・田崎祐一、野性爆弾・くっきー(川島から改名)、蛙亭・岩倉(岩倉美里)の5人が出演して、大喜利の団体戦を行う。
かまいたち・山内が最初に「これオールナイトイベントなんですか?」と聞き、浅越ゴエは「いえ、しかるべき時間に終わります」と答える。
ちなみに、玄武側は藤崎マーケット・トキがチーム名を「チラシ」と命名。各々がチラシにちなんだ自己紹介をするが、ヒューマン中村は、「この5人でバンドを組んだら僕はキーボードですね」と言って司会の浅越ゴエに「確かにそんな感じですが(本当にそんな感じである)チラシと何の関係もありません」と突っ込まれていた。
白虎側は何故か蛙亭・岩倉がキャプテンということになり、自軍を家族に例えるが、チーム名は家族とは何の関係もない「コロッセオの風」と命名し、会場大爆笑(蛙亭・岩倉は不思議ちゃんキャラである。今は知名度は高くないが、今後売れそうな予感はある)。「コロッセオの風」で自己紹介する羽目になったモンスターエンジン・西森は、「事前に言っといて!」と岩倉に言ってから何とか自己紹介。藤崎マーケット・田崎は考えながらの自己紹介となり、たどたどしくなってしまう。
「紅白歌合戦の視聴率が3.5%になってしまった。その理由は?」というのが最初のお題。「前に見たことがあるものだった(再放送だったという意味)」「4チャンネル(関西では毎日放送)と6チャンネル(関西ではABC放送)でもやっていた」という裏読み系の答えが多い。野性爆弾・ロッシーが「テニス」と答えてポイントを奪うが、モンスターエンジン・西森はそれを真似た「卓球」という回答をして自爆する。
「西川きよしが覚醒してスーパーきよしに。放った渾身の一言とは?」というお題にはきよしの家族ネタを答える芸人が多かった。
10ポイントを先に奪った「チラシ」が勝利。「コロッセオの風」のモンスターエンジン・西森は敗因を「僕の『卓球』」と答える。若手には大喜利は難しいようで、ヒューマン中村は西川きよしネタでは活躍するも紅白ネタでは不発。蛙亭・岩倉は本編では笑いを取ることが出来なかった。
最後は出演者全員での大喜利。2003年にタイムスリップしたという設定で、大喜利を行う。余計な演出があったが、書いても面白くないのでカットする。
まずは「朝青龍に一言」。その後、引退に追い込まれることになる朝青龍への忠告ネタである。麒麟・川島は「相撲だけ頑張れ。サッカーには手を出すな(怪我で休場し、治療のために帰国したはずなのに祖国モンゴルでサッカーの試合に出場していたことが判明して批判されたことを題材にしたもの)」、R藤本は「『品格』という言葉を壁に貼っておくがいい(朝青龍に対して「横綱としての品格」が問われたことを指している)」と記憶を辿る系統の答えをする。ケンドーコバヤシは「悪魔の顔をした人はメイクだよ(デーモン小暮閣下のこと)」と答えたが余り受けなかった。
最後のお題は「2003年の自分に一言」。麒麟・川島は「あの田村(裕)が2年後に2億稼ぐ。優しくしておけ」、ヤナギブソンは「(今はザ・プラン9から脱退した)なだぎを説得しておけ」、R藤本は「アムロをやる芸人(若井おさむのこと)が出てくるからその前にベジータネタをやっておけ」、モンスターエンジン・西森は「おいでやす小田と組むのは時間の無駄だやめておけ」と回答する。へー、モンスターエンジン・西森は最初はおいでやす小田とコンビだったのか。バッファロー吾郎・Aは「違う! 本当の嫁はそいつじゃない!」と離婚をネタにした回答を行った。
ちなみに、本当の意味での若手(お笑いの世界は40歳でも若手に入る)は2003年の時点では芸人ではなく、NSCに在籍すらしてなかったので面白い回答をすることは出来なかった。することはおそらく不可能である。
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