ザ・ニュースペーパー 「2016 新春公演」
今回も、安倍晋三、菅義偉、小泉進次郎といった自民党の面々(自民党結党60周年記念新春パーティーが舞台になる)に、舛添要一東京都知事、社民党の福島みずほと党首の吉田忠智(吉田は知名度が低いため、安倍晋三から「誰?」と言われたりする)、更には日本共産党の志位和夫(安倍晋三とは共通点が三つあり、同い年で政治家としても同期、そして性別も同じ男だそうである)も登場し、「自民と共産が共闘して負けたのは大阪が初めて」という話題になったりする。
冒頭は、義太夫の謡と三味線が登場。だが、三味線は実物を持っていながら弾けないので「ベンベン」と口三味線であり、笑いを呼ぶ。そして大阪ということで登場人物を文楽の人形に見立てた黒子付きの人形振りによる2015年の回顧が行われる。政治ネタだけではなく、体操の内村航平やテニスの錦織圭、ラグビー日本代表の五郎丸歩など話題になった人物も登場する(ラグビー日本代表の選手はこの後も登場するが五郎丸は出てこない)。
自民党のパーティーにも羽生結弦や澤穂希といった有名スポーツ選手が登場する。更には2020年東京オリンピックのエンブレム盗作疑惑が話題になったデザイナーの佐野研二郎も出てくるのだが、「日本の新しいSOSが誕生しましたな。佐村河内(Samuragouchi)、小保方(Obokata)、佐野(Sano)研二郎」と言われる。
登場人物達もめまぐるしく変わり、自衛隊の隊員になったり、ウラジーミル・プーチン(背広の裏地をじっと見つめ、「裏地見るプーチン」ですという駄洒落を言ったりする)、バラク・フセイン・オバマ、朴槿恵、金正恩、習近平といった外国の政治家も登場。トルコのエルドアン大統領(プーチンと電話で会談するのだが、「トルコの大統領の顔を知っている人はほとんどいない」と自ら言う)のようなリトルフェイマスな人や、パプアニューギニアのオニール首相のような「あんた誰?」という人も登場。政治ネタだけでなく、フォルクスワーゲンかと思ったら実はスズキの社長室だったり、旭化成と三井不動産が起こした大型マンション施工不良問題のマンション発売時のキャッチコピーが「あとになってわかるクオリティー」だったり(実話である)、社会や経済もネタにしていく。「まさか、あのベッキーがあ!」といった最新の芸能ネタも取り込まれている。
「笑点」の大喜利を世界首脳が行ったり、ヤクザネタかと思いきや二人の正体は橋下徹と松井一郎だったりと、「聖域なき」笑いが繰り広げられていく。
ブラックユーモアを不得手とする日本人であるが、ザ・ニュースペーパーの面々はどぎついことでも「積極的」に笑いに変えていく。「笑ってはいけない場面」で起こる笑いほど可笑しいものはないのであるが、そうした笑いも随所に盛り込まれており、笑えないネタであるため逆に大笑いが取れるという技巧が鮮やかだ。
こうした笑いがある限りは日本も安心だと思えるのだが。
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