コンサートの記(242) 「ラ・フォル・ジュルネびわ湖2016」 大植英次指揮大阪フィルハーモニー交響楽団 リヒャルト・シュトラウス アルプス交響曲
今日の大阪フィルのコンサートマスターは田之倉雅秋。大編成の曲であるためエキストラも多く入っていると思うが、編成表はないので何人ほど入っているのかはわからない。ドイツ式の現代配置での演奏。
アルプス交響曲ではバンダが活躍し、最近ではカメラとモニターを使用して、指揮者の指示をバンダのメンバーがモニターで見て演奏ということも多いのだが、今日の演奏では副指揮者として金丸克己を置き、バンダを指揮させた。バンダはホール上手袖での演奏となった。
大植はまずマイクを手にスピーチ。大植英次は滑舌の悪い人なので心配されたが、びわ湖ホール大ホールはポピュラー音楽対応で立派なスピーカーがあるため、噛み噛みではあったがスピーチの内容は伝わってきた。
大植は熊本地震について触れ、「被災者の方々のために、余り有名な曲ではないのですが熊本の曲で『五木の子守唄』という曲を演奏したいと思います。拍手はご遠慮下さい」というようなことを語る。「五木の子守唄」は実際はかなり有名な曲だったのだが、一時期放送禁止曲だったこともあり、その時期に大植が日本を離れたため、大植と現在の日本人との間に意識の乖離があるのかも知れない。
弦楽合奏のための編曲。「五木の子守唄」の歌詞内容自体は暗すぎて哀歌には似つかわしくないのだが、メロディーは日本的な哀感がインメモリアムに相応しいものになっている。
メインであるリヒャルト・シュトラウスのアルプス交響曲。
びわ湖ホール大ホールの音響はなかなか良いが、ザ・シンフォニーホールやフェスティバルホールには及ばないように思う。
弦も管も渋めという、大フィルの特製を生かした演奏であり、技術も高い。
最近では抑えた指揮をすることも多い大植であるが、今日は指揮台の上で大暴れ。激しいアクションを次々と繰り出す。
「滝」のリリシズム、「頂上にて」の開放感、「雷雨と嵐、下山」の迫力、「日没」の輝き、始まりとラストの「夜」の仄暗さなど、優れた表現力の発揮された演奏である。
ただホールの音響のせいかも知れないが、全体の造形は大植としては今一つだったかも知れない。パワフルに過ぎたともいえる。
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