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2016年5月14日 (土)

コンサートの記(242) 「ラ・フォル・ジュルネびわ湖2016」 大植英次指揮大阪フィルハーモニー交響楽団 リヒャルト・シュトラウス アルプス交響曲

2016年4月30日 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール大ホールにて

午後4時から、びわ湖ホール大ホールで大植英次指揮大阪フィルハーモニー交響楽団によるリヒャルト・シュトラウスのアルプス交響曲を聴く。
考えてみれば、びわ湖ホール大ホールで純粋なオーケストラのコンサートを聴くのは始めてかも知れない。

今日の大阪フィルのコンサートマスターは田之倉雅秋。大編成の曲であるためエキストラも多く入っていると思うが、編成表はないので何人ほど入っているのかはわからない。ドイツ式の現代配置での演奏。

アルプス交響曲ではバンダが活躍し、最近ではカメラとモニターを使用して、指揮者の指示をバンダのメンバーがモニターで見て演奏ということも多いのだが、今日の演奏では副指揮者として金丸克己を置き、バンダを指揮させた。バンダはホール上手袖での演奏となった。


大植はまずマイクを手にスピーチ。大植英次は滑舌の悪い人なので心配されたが、びわ湖ホール大ホールはポピュラー音楽対応で立派なスピーカーがあるため、噛み噛みではあったがスピーチの内容は伝わってきた。
大植は熊本地震について触れ、「被災者の方々のために、余り有名な曲ではないのですが熊本の曲で『五木の子守唄』という曲を演奏したいと思います。拍手はご遠慮下さい」というようなことを語る。「五木の子守唄」は実際はかなり有名な曲だったのだが、一時期放送禁止曲だったこともあり、その時期に大植が日本を離れたため、大植と現在の日本人との間に意識の乖離があるのかも知れない。

弦楽合奏のための編曲。「五木の子守唄」の歌詞内容自体は暗すぎて哀歌には似つかわしくないのだが、メロディーは日本的な哀感がインメモリアムに相応しいものになっている。

メインであるリヒャルト・シュトラウスのアルプス交響曲。
びわ湖ホール大ホールの音響はなかなか良いが、ザ・シンフォニーホールやフェスティバルホールには及ばないように思う。
弦も管も渋めという、大フィルの特製を生かした演奏であり、技術も高い。

最近では抑えた指揮をすることも多い大植であるが、今日は指揮台の上で大暴れ。激しいアクションを次々と繰り出す。

「滝」のリリシズム、「頂上にて」の開放感、「雷雨と嵐、下山」の迫力、「日没」の輝き、始まりとラストの「夜」の仄暗さなど、優れた表現力の発揮された演奏である。

ただホールの音響のせいかも知れないが、全体の造形は大植としては今一つだったかも知れない。パワフルに過ぎたともいえる。
とはいえ、これだけの演奏が安い値段で聴けるというのはありがたいことである。

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