コンサートの記(243) 「ラ・フォル・ジュルネびわ湖2016」 アンヌ・ケフェレック ピアノ・リサイタル「水の物語」
CD録音が少ないということもあって、一般的な知名度はそれほど高くないアンヌ・ケフェレックであるが、熱心なクラシックファンの間ではお馴染みの名前である。
今も華奢だが、90年代にNHK交響楽団の定期演奏会にソリストとして客演したケフェレックの容姿をN響首席オーボエ奏者の茂木大輔は「フランス人形のような」と形容していた。
サティ、ドビュッシー、ラヴェルというフランス近代音楽の他にバロック音楽なども得意とするピアニストである。
ケフェレックの意思により拍手は全曲が終わってからにして欲しいということになる。
フランス人ピアニストらしい煌びやかで浮遊感のある音を生み出すケフェレック。基本的に響きで聴かせる曲が多いが、ケクランの「漁師たちの歌」にはシャンソンのような洒落た旋律が登場し、リストの「波の上を渡るパラオの聖フランチェスコ」では雄渾な歌がある。
カーテンコールに現れたケフェレックは、3度目に登場した時に、左手の腕時計の位置を指して、「まあ、もう時間がない!」というジャスチャーをしてピアノに自ら拍手を送り、終演となった。
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