楽興の時(15) 「小澤征爾音楽塾オーケストラメンバーによるロビーコンサート」2017年3月18日
演奏されるのは、サラサーテの「ナヴァラ」、ヘンデルの「パッサカリア」(ハルヴォルセン編曲)、久石譲の「いのちのなまえ」(映画「千と千尋の神隠し」より)、ガルデルの「ポル・ウナ・カベーサ」、簫泰然の「望春風」、ボロディンの弦楽四重奏曲第2番より第1楽章。
サラサーテの「ナヴァラ」は大藪英子(おおやぶ・えいこ)と尼﨑有実子(あまさき・ゆみこ)という日本人女性ヴァイオリン奏者二人、ヘンデルの「パッサカリア」は韓国人女性二人(ヴァイオリンのソン・アインとチェロのイ・セイン)、久石譲とガルデルと簫泰然は台湾出身の弦楽四重奏(1stVn:黄鈺婷、sndVn:李盼盼、Va:蔡孟珊、Vc:劉宛瑜)、ボロディンは京都市立芸大学在学中の女学生(のカルテット(1stVn:櫃本樹音、2ndVn:髙田春花、Va:江川菜緒、Vc:櫃本瑠音)による演奏である。韓国人や台湾人は名前の表記を見ても男性か女性か分からないのだが、今日は全員女性で、男性奏者は一人も参加していなかった。
若い人達のみによるコンサートであるが、オーディションを勝ち抜いた人達ばかりということもあり、実力者揃いである。楽器も良いものを使っているのだと思われるが、とにかく音が美しい。艶と張りがあり、並みの演奏家のそれとは段違いである。メカニックに関しても問題は一切ない。
小澤征爾音楽塾は今年はビゼーの歌劇「カルメン」を上演。「カルメン」の舞台はスペインで、サラサーテはスペイン人。ということで「ナヴァラ」が選ばれたと大藪英子が語る。「ツィゴイネルワイゼン」は午前中から演奏するには重いというので避けたようである。「ナヴァラ」は軽快で美しい曲だ。
ヘンデルの「パッサカリア」。イ・セインが「アンニョンハセヨ」と韓国語で挨拶をした後で英語でスピーチ。「日本語は喋れないのですがトライしてみたいと思います」と英語で言い、ソン・アインが紙を手に日本語で挨拶と楽曲紹介を行った。
台湾人のカルテットは、黄鈺婷が「おはようございます」と日本語で挨拶をした後で、英語でスピーチ。その後を受けて、蔡孟珊も英語でスピーチを行った。
ガルデルの「ポル・ウナ・カベーサ」は、ハバネラのリズムの曲であり、そのために選ばれたようである。
ボロディンの弦楽四重奏曲第2番第1楽章は「伊右衛門」のCMで使われて有名になった曲。第1ヴァイオリンとチェロは共に櫃本(ひつもと)という珍しい苗字であり、実の姉妹だと思われる。樹音(じゅね)と瑠音(るね)というフランス風の名前なので、ご両親がフランス好きなのだろう。
日韓関係は悪化しているし、中国と台湾の両岸問題も進展していないが、音楽に国境はないことが感じられて嬉しかった。
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