コンサートの記(284) 大友直人指揮京都市交響楽団第477回定期演奏会 京都市交響楽団&プラハ交響楽団合同演奏会
芥川の「交響管弦楽のための音楽」で大友は見事なオケ捌きを見せる。京響も鋭い音で応える。
チャイコフスキーの「ロメオとジュリエット」はロマンチックな曲だが音同様構成力もやや甘いためか演奏される回数は意外に少ない。京響はこの曲を演奏するには音の色彩感が不足している。もっともっと音の煌めきが必要だ。
休憩を挟んで後半はまずプラハ交響楽団の単独演奏。35歳の若手指揮者トーマス・ハヌスの指揮でモーツァルトの交響曲第38番「プラハ」が演奏される。中編成での演奏なので、天井が高く音が上に行ってしまいがちな京都コンサートホールでは音量不足は否めない。プラハ交響楽団は一流とは目されていないオーケストラだが音は京響よりも美しい。弦とクラリネットが特に魅力的だ。ハヌスの指揮姿はギクシャクとして機械仕掛けの人形を思わせるところがある。若々しい演奏だが、1925年生まれのサー・チャールズ・マッケラスは60代で録音した「モーツァルト交響曲全集」において更に更に若々しい演奏を繰り広げている。表現に年はあまり関係ないようだ。
大友の表現もデュトワほどではないが色彩感に富み、語り上手である。京都コンサートホールのパイプオルガンも威力抜群だ。
この曲は最後の「アッピア街道の松」で金管のバンダ(舞台以外で演奏する別働隊のようなもの)が活躍する。デュトワの時はバンダはNHKホールの上手にあるパイプオルガンの前で演奏した。今日はどこに登場するのだろうと興味津々だったが普通に2階席後方で演奏していた。あまり心躍る演出ではない。「アッピア街道の松」は迫力抜群ではあるが、舞台とバンダの間の距離が相当あったためにどうしても音にズレが生じてしまい、アンサンブルが崩れたように聞こえてしまっていた。それだけが残念である。
| 固定リンク | 0
« コンサートの記(283) 爆クラ!presents「ジェフ・ミルズ×東京フィルハーモニー交響楽団×アンドレア・バッティストーニ クラシック体感系Ⅱ -宇宙と時間編-」 | トップページ | 礼儀とは »
コメント