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2017年9月14日 (木)

笑いの林(93) ヒューマン中村単独ライブ「全然全然^^」

2017年8月28日 大阪・なんばのよしもと漫才劇場にて

午後9時から、大阪・なんばのよしもと漫才劇場で、ヒューマン中村単独ライブ「全然全然^^」を観る。ヒューマン中村はこれまで道頓堀のZAZAで単独公演を行ってきたが、今回は初のよしもと漫才劇場での単独ライブとなる。
「30人の劇場を手配したつもりが間違えて300人の劇場を押さえてしまった」という設定。
午後9時開演の公演ということもあり、入りは100人ちょっと。健闘した方だと思う。
 
よしもと漫才劇場では様々な演出が出来るということで、照明や映像、提灯の灯りなども用いる。
最初の漫談は「シャッフルことわざ」という面白くなりそうにないもの(「二階から弘法」、「鬼の目にも弘法」、「のれんに釘」など)。そしてこの敢えて面白くないネタに大仰な演出を施すことで笑いを誘う。フリップをめくる前にドラムロールが鳴ったり、むやみやたらとヒューマンを持ち上げるメッセージがスクリーンに投影されたり、タイトルが「アキナ牛シュタイン」(アキナ、和牛、アインシュタインの3組による人気ライブ)になってしまったり、「おいでやす小田単独ライブ」と、ヒューマンが一番一緒にされたくない芸人のライブということになったりする。

続いてのフリップ漫談は「スピンオフ」。映画やドラマのスピンオフのように、脇役を主役にした作品を作ろうというもの。
「浦島太郎」。浦島太郎が竜宮城を訪れる前に竜宮城をこしらえた若者達を描いた「竜宮BOYS」、そして鯛やヒラメの舞い踊りを完成させるまでの一種のスポ根もの「舞魚Haaaaaaaan!!」(「舞魚はレディ」でもいいな)。「桃太郎」は「山へ柴刈りに行ったおじいさん」を描いた「山猿」、「鶴の恩返し」では鶴を捕まえる罠をこさえた男達の物語「君の罠」、罠の材料を運んできたのは「山猿」だそうである。ある程度邦画の知識がないと内容がわからないネタである。


映像では、ヒューマン中村が改名をしようと思い立ち、ヒューマン中村の名付け親である三浦マイルドに電話で連絡するというネタを行う。三浦マイルドは何を聞かれても「マイルドフラッシュ」しか言わない(ニュアンスは変える)。後でメイキングをやるが、三浦マイルドはヒューマン中村の「何を聞かれても『マイルドフラッシュ』でしか答えない」という提案に快諾。更にNG集も流れたが、ヒューマン中村のスマートフォンにトラブルがあって止まった間も三浦マイルドは「マイルドフラッシュ」を続けていたことがわかる。三浦マイルドはかなりいい人のようである。


コント。ヒューマン中村はセーラー服を着て登場。さっきそこでセーラー服を着たかなり怪しい男と入れ替わってしまった女子として校門のところで語るのだが、真っ赤な嘘。クラスメートに呼びかけるも名前は出鱈目(「まり」と「豊」で両親の名前だそうである)。すでに警察もやってきてしまっている。そこで校内に爆弾を仕掛けたと内容を変えるのだがこれも当然ながら通用せず、そしてラストである。


フリップネタ。「腕相撲」は「腕相撲」という言葉より「相撲」という言葉がよりポピュラーであったために「腕の相撲」として言葉が生まれたということで、「もし二番手と一番手が逆だったら」という本人も「これややこしいな」というネタをやる。もしも「まわしすら纏わない相撲」が今の相撲よりもポピュラーだったと仮定した場合、今の相撲は「着用相撲」になったそうである。「がらがら相撲」は、土俵の上がぎゅうぎゅうだった場合が普通だった場合は、土俵上があいている今の相撲は「がらがら相撲」になったそうである。また空中で行う「スカイダイビング相撲」がポピュラーになっていたとしたら今の相撲は「地上相撲」になっていたそうで、「まげ相撲」と呼ばれる場合は「テクノカット相撲」がポピュラーだった時である。ちなみに入りの音楽が落語の出囃子調にアレンジされた「千のナイフ」だったのだが、ヒューマン中村は坂本龍一やYMOが好きなのだろうか。
テーマが「餃子」に変わって、「陸上餃子」。「水陸両用餃子」が広まっていた場合は今の餃子は「陸上餃子」になるという。餃子は焼き餃子も水餃子もあるので、水陸両用餃子もありえる(かな?)


「ポエム」。ポエムの朗読。「一つだけ願い事が叶うなら富でも名誉でもなくあの空を飛ぶ鳥のような虫を食べる能力が欲しい」というフォークソングをなぞったもので、食べるものがいつでもそばにあるのがいいらしい。ゴキブリなどもごちそうになるそうだ。


ショートコントならぬショートコンボ。ピンのショートコントをいくつも繋げるというものである。
「闇のゲーム」。人々が館に集められているという設定。館の主であるヒューマン中村は仮面をかぶり、「この館に仕掛けられた謎が一つある。それを探し出して答えて欲しい。ただし、24時間以内に答えられなければ命は」というところで答えが出てしまう。正解者はクイズ選手権で3連覇している沢村さんだそうで、ヒューマン中村は沢村さんのファンだったそうである。
それはそれとして、まるまる24時間が余ってしまうことになった。暇らしい。

「温暖低気圧に茶々入れる人」。「ねえねえおまえ昔台風だったんだって?」で終わりである。

「シニアパソコンスクール」。ヒューマン中村はご老人のためのパソコン教室の講師という設定。しかし、このパソコンスクールに来ているのは警視庁のサイトをハッキングするお爺ちゃんや、「人間の善悪を科学的に完全に識別するソフト」をプログラミングしているお婆ちゃんなどとんでもない腕利きばかり。そこでヒューマン中村演じるパソコン講師はパソコン教室を閉め、皆で世界を乗っ取ろうと提案する。


コント「タイムトラベラー」。ヒューマン中村が170年後の未来からやってきた未来人と出会う。出会うと歴史が変わってしまうため、出会った人には記憶をなくす薬を飲んで貰っているという。
ヒューマン中村は「溶脈」という怖ろしげな名を持つ謎の病気の存在を知る。2017年の時点では存在しない病気である。170年後の未来には空間にディスプレイを生み出すことが可能になっている。「病気事典(?)」を読む上げるヒューマン中村は、「溶脈」とは「2018年に発見された病気で」というところで「来年? 何があったの?」となり、「え? 俺、1号者?」と気づく。ちなみにタイムトラベラーは過去と未来の感染経路についてはわかっておらず、「時空?交通局?もそんな人にタイムトラベラーの免許与えちゃダメだよ」とダメ出しされる。タイムトラベラーは溶脈の薬を持っていたのだが毒々しい赤の8錠で……。


「俯瞰」。日常なにげなく過ごしている空間だが、俯瞰でとらえると妙に思えるというネタである。
「小学校」。「小一時間ほど一人で話し続けている人(先生)がいる」「歩いて通う人より自動車に乗って通う人の方が上という序列」「裸足で地面の上を走らされる日がある(運動会)」「週に1回しかパンが食べられない(給食)」「おしっこを集めて回る謎の団体(検尿)」「たまに変な奴いる」
「初詣」。「行列して並んだのに中に入れてもらえない」「お金を出して買ったのに残念賞すらない(おみくじ)」「ゴミを縛り付けて帰る(やはりおみくじ)」
「結婚式」。「やたらと身内だけを集めているコンビ」「米を配られるが食べられない(ライスシャワー)」「ものを取り分ける様を見せられる(ケーキ入刀)」、「火をつけながらテーブルを回る(キャンドルサービス)」
「ドラえもん」。「多くの男子と仲良くしている女の子がいる」「いじめっ子をやっつけるためのAI機器の存在」「引き出しにとんでもないもの隠している奴がいる」


これで本編は終わったのだが、スクリーンのエンドロールに「特別出演 信濃岳夫(吉本新喜劇)」という文字が映り、舞台下手から警官に扮した信濃岳夫が登場。本番を終えたヒューマン中村(舞台上手から出てくる)に職務質問を行うというコントがある。ヒューマン中村は職業を聞かれて面倒になり「ポエムを朗読しています」と言ってしまう。鞄の中にフリップが入っているのだが、「スカイダイビング相撲」や「水陸両用餃子」と書かれた文字を読んだ信濃は「これのどこがポエムなんだ?」といぶかる。
更に鞄からセーラー服が出てきたため、信濃は「おまえやったな! これはやったな!」と叫ぶ。ヒューマン中村は「劇場から持ってきたんです」と言うが、「なんばグランド花月の向かいにある」と言ったため、「NMB(48)劇場じゃないか!」と言われる(よしもと漫才劇場はNMB48劇場のあるビルの5階にある)。
お笑い芸人だと打ち明けることにしたヒューマン中村だが、「(お笑い芸人)にしては華がないな」と言われる。ヒューマン中村も「それは昔から悩んでいるんですが」
更に、おいでやす小田に間違われる。
信濃扮する警官はお笑い好きでR-1ぐらんぷりも見ているのだが、今年も去年もヒューマン中村は決勝に残っていない。その前に見たのは2010年度で、ヒューマン中村が決勝に進んだ5年分だけ丸々抜け落ちていたのだった。

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