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2017年12月23日 (土)

観劇感想精選(227) タクフェス第5弾 「ひみつ」

2017年12月9日 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて観劇

午後6時から、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで、タクフェス(TAKUMA FESTIVAL JAPAN)第5弾「ひみつ」を観る。作・演出・出演:宅間孝行。宅間孝行4年ぶりの新作である。出演は、宅間孝行の他に、戸田恵子、松本利夫(EXILE)、福田沙紀、武田航平、赤澤燈(あかざわ・ともる)、岡本あずさ、山崎静代(南海キャンディーズ)、東風万智子、越村友一、益田恵梨菜、松本純青(子役)、ベンガル。

冤罪がテーマとなっており、パンフレットには記されていないが、松本サリン事件が重要なモチーフになっている。そのことは、主人公である本橋家の人々が松本市出身であるということからもうかがわれる。参考にされた冤罪事件にはその他に、布川事件、恵庭OL殺人事件、志布志事件、袴田事件などが挙げられている。

舞台は群馬県館林市の郊外にある本橋家の別荘兼保養所。本橋家の長女である渚(戸田恵子)と長男のゴロー(宅間孝行)は、姉弟漫才師として売れっ子になっている。ネタを書いたり二人のマネージャーを務めているのは二人の弟である本橋八郎(松本利夫)である。

物語の主な舞台となっているのは、1992年だが、作品はその25年後、つまり今現在からスタートする。ゴローの息子の京太郎(宅間孝行。二役)は弁護士になっている。伯母の渚の余命がわずかとなっているため、京太郎は渚と渚の実の娘である山之内夢(福田沙紀)の再会を画策していた。夢は幼い頃に里子に出されており、その家が実家だと思い込んでいて、実の母親が渚であるということは今の今まで知らない。八平と元警官の碑文谷(越村友一)が夢を迎えに行ったのだが、夢が全く取り合わなかったそうで、仕方なく二人は夢を拉致して群馬県の別荘まで連れてくる。実の母親が別にいるということを夢は信じなかったが、チューリップの「青春の影」を夢が大好きなことを京太郎は言い当てる。「青春の影」は、渚が子守唄としてずっと歌っていた曲だった。京太郎が夢に、本橋家の出来事について語り始める。本橋家には人には決して言えない「ひみつ」があった……。

まずは京太郎が狂言回しとして話を進めていき、夢は解き明かされる真実に立ち会うために常に舞台上にいるという設定である。

ゴローは、京都出身で京都に深い思い入れのある元子(山崎静代)と結婚しており、その息子が京太郎だ(子役時代の京太郎はダブルキャストで、今日は松本純青君が演じている)。一方、姉の渚は48歳になる今日まで独身を貫いていたが、突然、結婚を発表する。相手はイタリアンレストラン見習いで元ホストのレイジ(武田航平)。いかにもジゴロといった雰囲気のレイジであるが、彼が後に問題を起こすことになる。渚のおなかの中には赤ちゃんがいた。夢である。

さて、夢が生まれたものの、レイジの素行の悪さが目立つ。浮気はしまくり。その上、渚の口座から多額の金を引き出すようになる。
ゴローの怒りを買うレイジだったが、少年院上がりのゴローにレイジは「蛙の子は蛙」と言う。実は本橋家の父親は神経ガスを作って6人を殺害したという容疑で、死刑の判決を受けていたのだ。だが、父親の所有物からは神経ガスを作ることは不可能であり、製造する技術も持ち合わせていない。渚もゴローも八平も「冤罪である」と確信していた。

そして事件が起こる。離れでレイジの遺体が発見されたのだ。容疑者として渚が浮上。渚が犯人でないことは明らかだったのだが、死刑囚の娘であるということから警察は渚以外の容疑者の捜査を早々に打ち切っており、なんとしてでも渚を犯人に仕立て上げようとしていたのだった。

起訴された場合、有罪になる可能性は極めて高いという事実がある(有罪率は実に99.9%)。警察も検察も威信を賭けて有罪に持って行くのである。
有罪への持って行き方については、『冲方丁のこち留 こちら渋谷警察署留置場』に詳しいので読まれたし。

渚は、冤罪の犠牲者になるという運命を受け入れ、娘の夢に自分たちのような「犯罪者の子供」という経験を味わわせたくないと、里子に出すことを決意する。


いつもながらの泣かせる作品であり、女性客の泣き声が響いていた。


終演後に、出演者が宅間孝行作詞・作曲の「泣かないで」に乗せて踊るのだが、拍手が鳴り止まず、結局、出演者は3回もアンコールに応えた。ちなみに、ソロダンスの場面があるのだが、1回目では子役の松本純青が華麗なブレークダンスを披露。ただ、子役は午後9時までしか舞台に出られないため、1回目のダンスが終わったところで退場した。2回目はダンスが本業のEXILE・松本利夫がソロを取り、客席が大いに沸く。3回目はベンガルがソロを取ったのだが、横綱土俵入りのようなダンスで、みんなずっこけていた。

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