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2017年12月24日 (日)

コンサートの記(335) 速海ちひろ&ヤンネ舘野 クリスマスコンサート2017京都

2017年12月16日 河原町五条下ルの日本聖公会京都ヨハネ教会にて

午後5時30分から、河原町五条下ルの日本聖公会京都聖ヨハネ教会で、速海(はやみ)ちひろとヤンネ舘野のクリスマスコンサートを聴く。

速海ちひろはハープ奏者、ソプラノ歌手。三重県伊勢市出身で、現在は京都市在住である。日本聖公会の大学である立教大学文学部仏文科卒業後、奨学金を得てイギリスとフランスに留学。ハープを声楽を専攻し、パリUFAM国際コンクールで1位を獲得している。

ヤンネ舘野は、現在は左手のピアニストとして活躍する舘野泉の息子である。フィンランド・ヘルシンキ生まれ。ヘルシンキ音楽院とシカゴ芸術音楽学院でヴァイオリンを学ぶ。シカゴ芸術音楽学院では森悠子に師事した。現在はヘルシンキのラ・テンペスタ室内管弦楽団のコンサートマスター兼音楽監督、山形交響楽団の第2ヴァイオリン奏者を務めており、長岡京室内アンサンブルのメンバーでもある。


曲目は、「きよしこの夜」、「柊飾ろう」(ウェールズ地方の古いキャロル)、「彷徨いながら不思議に思う」(アパラチアの古いキャロル)、「この幼子は誰?」(グリーンスリーブス)、「松明手に手に」(南フランスのキャロル)、「クリスマスキャロルメドレー」(もろびとこぞりて~ジングルベル~まきびとひつじを)、マスネの「タイスの瞑想曲」、シベリウスの「ノヴェレッテ」、バッハ=グノーの「アヴェ・マリア」、伝カッチーニ作曲(実作者はウラディーミル・ヴァヴィロフ)の「アヴェ・マリア」、武満徹の「死んだ男の残したものは」、シベリウスの「フィンランディア賛歌」(平和の歌。交響詩「フィンランディア」より)、シベリウスの「権力も栄誉も求めず」、オーベルチュアの「処女マリア」、J・S・バッハの「ラルゴ」(無伴奏パルティータより)、なかにしあかねの「愛されている」、久石譲の「Stand Alone」(NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」主題歌)、「アメイジング・グレイス」


ヤンネ舘野がシベリウスを弾くというので聴きに行ったコンサートで、速海ちひろのことはよく知らなかったのだが、顔というよりも雰囲気が女優の清水美沙に似ている。

谷川俊太郎作詞の「死んだ男の残したものは」を聴きながら、1990年代半ばに明治大学駿河台キャンパスのそばで、清水美沙(当時は清水美砂)や谷川俊太郎とすれ違ったことを思い出した。

速海のハープと歌声は温か。教会の演奏ということで音響が抜群というわけではないのだが、ヤンネ舘野のヴァイオリンもスケールが大きく、艶やかな音を奏でる。良いヴァイオリニストは、弦の表面を撫でるのではなく、芯の部分を確実にとらえていくような弾き方をする。

シベリウスの「ノヴェレッテ」は、清澄という言葉がぴったりくるような音楽である。

「死んだ男の残したものは」は、寺嶋陸也によって3年前にハープ弾き語りとヴァイオリン伴奏用に編曲されたものなのだが、これまで演奏する機会がなく、今日がこのバージョンに初演になるそうだ。ハープが不吉な和音を奏で、ヴァイオリンが不協和音を発する独自の編曲で、強く印象に残った。

シベリウスの「権力も栄誉も求めず」は、ヤンネ舘野によるとフィンランドではとてもポピュラーな曲なのだそうである。サカリ・トペリウスによるフィンランド語原詩による歌唱。速海は、フィンランド語原語での歌唱を当初はためらったそうだが、詩の内容が素晴らしいため、原語で歌うことにしたのだという。


アンコール演奏は3曲。まずは高橋晴美の「ありがとう」。2曲目がヴィヴァルディの「冬」より第2楽章、ラストは聴衆と共に「きよしこの夜」をもう一度歌った。

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