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2018年1月23日 (火)

コンサートの記(341) 小林沙羅ソプラノリサイタル2018西宮

2018年1月19日 西宮北口の兵庫県立芸術文化センター神戸女学院小ホールにて

午後7時から、兵庫県立芸術文化センター神戸女学院小ホールで、小林沙羅のソプラノリサイタルを聴く。ピアノ伴奏は河野紘子。

神戸女学院小ホールの名称はネーミングライツによるものであり、神戸女学院のホールというわけではない。
これまで兵庫県立芸術文化センターの大ホールと中ホールには何度も来ているが、小ホールに入るのは今日が初めてである。単純にこれまで訪れる機会がなかった。
神戸女学院小ホールは、コンタクトレンズのような形状の反響板が特徴的なホールである。天井が高い。今日はステージ下手の後方、斜めになった席で聴いたのだが、音はまずまず、悪くはないが特に良いというわけではない。このホールは使い勝手が悪いため、積極的に「また来たい」とは思えなかった。


曲目は、前半が日本の歌曲で、山田耕筰の「この道」、「あかとんぼ」、「からたちの花」、草川信の「揺籃(ゆりかご)の歌」、美智子皇后作詞・山本正美作曲の「ねむの木の子守歌」、別役実作詞・池辺晋一郎作曲の「風の子守歌」、中田喜直の「さくら横ちょう」、「髪」、「悲しくなった時は」、山田耕筰の「風に寄せてうたへる春のうた」、後半はドイツ語歌曲で、リヒャルト・シュトラウスの「矢車菊」、「夜」、「セレナーデ」、シューベルトの「子守歌」、ブラームスの「子守歌」、フリースの「モーツァルトの子守歌」、シュトルツの「プラーター公園の春」、レハールのオペレッタ「メリーウィドゥ」よりヴィリアの歌、カールマンのオペレッタ「チャルダッシュの女王」より“ハイヤ!山こそわが故郷”


2015年に兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールで上演された、野田秀樹演出の「フィガロの結婚」にスザンナ(すざ女)役で見たことのある小林沙羅。「題名のない音楽会」への出演でもお馴染みである。東京藝術大学および大学院修士課程修了。2010年から2015年までウィーンとローマで研修と歌唱活動を行っている。

ピアノ伴奏の河野紘子は、桐朋学園大学卒業後、同研究科を修了。オーストリアでマスタークラスやサマーアカデミーなどに参加。「のだめカンタービレ」や映画「神童」で手の吹き替えも行っているそうだ。現在、二期会オペラ研究所ピアニストとして勤務。今日は温かみのあるピアノを聴かせてくれた。


小林沙羅は、フォルムのクッキリした美声を聴かせる。声としての質の高さが窺えるが、何よりも声で聴かせるタイプであるため、山田耕筰の歌などでは感情が十分に伝わってこないもどかしさも感じた。

子守歌が並んでいるが、小林沙羅の1歳半になる子供が、どんなに活発に活動していても子守歌を聴くとストンと眠ってしまうそうで、子守歌を歌う前に小林は、「眠くなったら眠っていいですよ」と冗談で言っていた。

中田喜直の「髪」については、学生の頃にずっと取り組んでいた曲なのだが今ひとつピンとこず、「どこが良いんだろう?」と思いながら勉強していたそうだが、年を重ねることで歌詞や曲の良さが感じられるようになってきたそうである。

レハールの「メリーウィドウ」よりヴィリアの歌では聴衆に協力をお願いして、合唱の部分を歌って貰うという無茶ぶりがある。ただそこは阪神間中心と思われる客層なので、男女ともに「我こそは!」と率先して歌ってくれる人がおり、大成功であった。

更に、カールマンの「チャルダッシュの女王」より“ハイヤ!山こそわが故郷”でも聴衆に手拍子を促し(楽譜に「手拍子をするように」と書いてあるそうである)、「楽譜に踊れって書いてあるので踊ります」と言って、ジプシー風のダンスを舞う。小林はバレエも習っていたので、踊るのも得意なのだろう。


アンコールは3曲。ジーツィンスキーの「ウィーン、我が夢の街」、リヒャルト・シュトラウスの「献呈」、小林沙羅自身の作詞・作曲である「えがおの花」
「ウィーン、我が夢の街」は前半をドイツ語詞で、後半を日本語詞で歌った。


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