« さよならモーツァルト | トップページ | いちご世代の悲哀 »

2018年1月25日 (木)

コンサートの記(343) ジェームズ・ジャッド指揮 京都市交響楽団第619回定期演奏会

2018年1月21日 京都コンサートホールにて

午後2時30分から、京都コンサートホールで京都市交響楽団の第619回定期演奏会を聴く。今日の指揮者はイギリスの名匠、ジェームズ・ジャッド。

曲目は、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番(ヴァイオリン独奏:木嶋真優)とホルストの組曲「惑星」


NAXOSへのレコーディングでもお馴染みのジェームズ・ジャッド。現在はイスラエル交響楽団の音楽監督とテジョン・フィルハーモニック管弦楽団の芸術監督、更にスロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督兼首席指揮者の座にある。これまでにフロリダ・フィルハーモニー管弦楽団とニュージーランド交響楽団の音楽監督を務め、録音も好評を博している。
ロンドン・トリニティ・カレッジ・オブ・ミュージックを卒業後、ロリン・マゼールの下、クリーヴランド管弦楽団のアシスタント・コンダクターを務め、クラウディオ・アバドの推挙によりヨーロッパ・コミュニティ・ユース・オーケストラの副音楽監督も経験している。
レナード・バーンスタインの弟子ではないのに、バーンスタイン作品を取り上げる指揮者としても知られる。純粋に作品として評価しているようである。

プレトークではジャッドは主に組曲「惑星」について解説。ホルストについて「ジーニアス(天才)」という言葉を用いながら楽曲の魅力を語った。


今日のコンサートマスターは渡邊穣、フォアシュピーラーに泉原隆志。


プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番。20世紀に作曲されたヴァイオリン協奏曲としては一二を争うほどの人気曲である。
2016年に第1回アイザック・スターン国際ヴァイオリン・コンクールで優勝した木嶋真優。これまでは「技術面は達者だが表現力がいまいち」という印象だったが見事に成長した。高音の美音はそのままに、女流としては厚めの音を特徴とする淀みのない演奏が繰り広げられる。音楽作りの面では甘さ控えめでリアルに徹している印象も受けた。

アンコールで木嶋は、自身のアレンジによる「ふるさと」を演奏。美しさと力強さを兼ね備えた演奏であった。


ホルストの組曲「惑星」。スケール豊かな演奏となる。第1曲「火星」では、天井の高い京都コンサートホールが飽和するほどの力強い音が鳴り響き、第2曲「金星」などでは神秘的で洗練された音を生み出す。楽曲ごとの対比も上手い。第4曲「木星」の立体感とノーブルさの表出も見事だった。
京都市交響楽団は、持ち前の金管の輝かしさが生きており、木管のクオリティも高い。弦は管に比べると押され気味のような気もしたが音自体は充実したものである。渡邊穣のヴァイオリンソロも味わい深い。
第7曲「海王星」に登場する京響コーラスの声も美しく、秀逸な「惑星」演奏となった。

| |

« さよならモーツァルト | トップページ | いちご世代の悲哀 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: コンサートの記(343) ジェームズ・ジャッド指揮 京都市交響楽団第619回定期演奏会:

« さよならモーツァルト | トップページ | いちご世代の悲哀 »