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2018年2月23日 (金)

コンサートの記(350) 角田鋼亮指揮 大阪交響楽団ほか フンパーディンク 歌劇「ヘンゼルとグレーテル」

2018年2月12日 びわ湖ホール中ホールにて

午後2時から、びわ湖ホール中ホールで、フンパーディンクの歌劇「ヘンゼルとグレーテル」を観る。日本語訳詞での上演、日本語字幕付きである(訳詞:中山悌一・田中信昭)。指揮は角田鋼亮(つのだ・こうすけ)、演奏は大阪交響楽団。演出:栗山晶良。出演はびわ湖ホール声楽アンサンブルのメンバー。ほどんどがダブルキャストだが、今日の出演は、吉川秋穂、飯島幸子(いいじま・ゆきこ)、五島真澄(男性である)、船越亜弥、増田貴宏、平尾悠(ひらお・はるか)、溝越美詩(みぞこし・みう)、川野貴之、内山建人。大津児童合唱団、滋賀洋舞協会。衣装:緒方規矩子。舞台美術:妹尾河童。

まず指揮者の角田綱亮による挨拶とワークショップのようなものがある。
関西でも活躍の場を拡げている角田綱亮。現在、セントラル愛知交響楽団と大阪フィルハーモニー交響楽団の指揮者を務めており、今年の4月からは仙台フィルハーモニー管弦楽団の指揮者にも就任予定である。1980年生まれ。東京芸術大学および同大学院修士課程修了後、ベルリン芸術大学国家演奏家資格課程を修了。2006年に第3回ドイツ全音楽大学・指揮者コンクールで最高位を獲得。2年後の第4回同コンクールでも2位に入る。2010年の第3回マーラー指揮コンクールでも最終選考(トップ6)に残っている。

角田は、挨拶と自己紹介をした後で、「ピットに入りますと後頭部しか見えないと思いますので、今のうちに表の顔を覚えておいて下さい」と冗談を言う。今回の上演ではラスト近くに出てくる「お菓子になった魔女の歌」をお客さんにも歌って貰いたいということで、予行練習を行うために出てきたのだ。びわ湖声楽アンサンブルのメンバーも登場し、先にテノールが歌って、同じ歌詞とメロディーの部分を観客だか聴衆だかが歌う。歌詞と譜面は無料パンフレットに載っている。角田はリハーサルでも本番でもここでは客席を向いて指揮を行った。
ワークショップでは結構歌ってくれる人はいたのだが、やはり大津のお客さんということもあってか本番では歌う人は余りいなかったようである。

角田の作り出す音楽はしなやかで躍動感がある。「若手指揮者はこうでなくては!」という演奏が出来ていたように思う。大阪交響楽団の鳴りも良い。

有名なグリム童話が原作。子供の頃には一度は接したことのある物語である。ただし残酷な面はカットされている。今回は子供に観て貰うために日本語詞による上演だが質は上々。妹尾河童のメルヘンに満ちたセットも効果的で、眠っていた幼心が呼び覚まされたかのような独特の快感がある。特に滋賀洋舞協会のバレエダンサーを起用した14人の天使の場面は本当に夢のような美しさをたたえていた。栗山晶良は、1980年にやはり妹尾河童と組んだ「ヘンゼルとグレーテル」でサントリー音楽賞を受賞しているそうである。
日本語詞による公演は、どうしても歌手達の演技力がネックになってしまうのだが、今回の上演では合格点に達していたと思う。増田貴宏演じる魔女がユーモラスで良かった。


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