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2018年3月27日 (火)

観劇感想精選(239) 文楽京都公演2018「桂川連理柵」より“六角堂の段”“帯屋の段”“道行朧の桂川”

2018年3月23日 京都府立文化芸術会館にて観劇

午後4時から、京都府立文化芸術会館で、文楽京都公演「桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)」を観る。今回の文楽公演は「桂川連理柵」と「曽根崎心中」の二本立てなのだが、「曽根崎心中」の方はスケジュールが合わず諦める。以前に「曾根崎心中」は2度観たことがある。

「桂川連理柵」はタイトルからも分かる通り、桂川のある京都が舞台となっている。帯屋の主である長右衛門38歳が隣の信濃屋の娘お半14歳と恋仲になってしまうという、今ならそれだけで犯罪という話だが、お半は長右衛門の子を宿しており、長右衛門は金策と大名から預かった刀剣の紛失で追い詰められ、心中を選ぶことになる。
長右衛門には義母のおとせと義理の弟である儀兵衛がいるのだが、この二人が実に嫌な人物として描かれている。
後半である「六角堂の段」「帯屋の段」「道行朧の桂川」の上演。20分弱の六角堂の段の後に15分の休憩が入り、その後はラストまで通される。お絹に横恋慕する儀兵衛とお半に恋している長吉の動きがコミカルだ。主遣いが冷静な表情でコミカルな動きを付けてるので更に可笑しくなる。「洟垂れ」などと言われる長吉はピエロそのものでああるが、儀兵衛にもそうした要素はある。
長右衛門が最後までお半の命を助けようとするのが人間的でもあり、彼の性格が出ていて良かったと思う。

文楽の場合、人形が主役ということでビジュアルが絵画的であり、ここぞというときは文字通り絵になる。俳優を使った演劇の場合は大半は役者の力量によって絵になっているのだが、人形は場面そのものが混じりけのない絵になっている。勿論、人形の作者や人形遣いの技量も加わっているのだろうが、それ以上に人形そのものの美が表に出ている。世界中の人形劇を観たわけではないが、おそらく文楽こそが世界で最も美しい人形劇であると思われる。



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