コンサートの記(366) アレクサンドル・タロー ピアノ・リサイタル2018京都 J・S・バッハ 「ゴルトベルク変奏曲」
2018年3月22日 京都コンサートホール小ホール アンサンブルホールムラタにて
午後7時から、京都コンサートホール小ホール アンサンブルホールムラタで、アレクサンドル・タローのピアノ・リサイタルを聴く。J・S・バッハの「ゴルトベルク変奏曲」1曲勝負。
1968年、フランス生まれのピアニストであるアレクサンドル・タロー。日本デビュー時には「フランス人だけどタローです」という親しみやすい苗字を売りに出したコピーが用いられていたが、今やフランスの中堅を代表するピアニストに成長している。出身地であるフランスものを始め、バッハ、ショパン、モーツァルト、ラフマニノフといったCDを発売している。
J・S・バッハの「ゴルトベルク変奏曲」は、タローの最新アルバムに収録されている楽曲である。
譜めくり人を使用し、楽譜を見ながらの演奏を行う。
冒頭のアリアで端正な演奏を行い、変奏に入ってからは高い技術を前面に出していく。かといってヴィルトゥオーゾ的ではなく、見通しのよい涼やかな演奏を行うところがフランス人ピアニストらしい。スケールは大きめで、時にはバッハ的領域をはみ出したロマンティックなものになるが、それはそれで説得力がある。バッハだからバッハ的スタンスに止まらなければならないというわけでもないのであるし。
第25変奏の痛切さも良く出ているが、音の光を失わないのがタローらしいところである。
ラストの「アリア」も穏やかさと懐かしさに溢れた味わい深いものになっている。
アンコールはラモーのクラブサン組曲より「野蛮人たち」。典雅な演奏であった。
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