コンサートの記(370) 飯森範親指揮日本センチュリー交響楽団第224回定期演奏会
2018年4月5日 大阪・福島のザ・シンフォニーホールにて
午後7時から、大阪・福島のザ・シンフォニーホールで日本センチュリー交響楽団の第224回定期演奏会を聴く。今日の指揮者はセンチュリー響首席指揮者の飯森範親。
曲目は、ウェーバーの歌劇「魔弾の射手」序曲、ライネッケのフルート協奏曲(フルート独奏:ワルター・アウアー)、カリンニコフの交響曲第1番。
今日のコンサートミストレスは松浦奈々。
カリンニコフの交響曲第第1番は直前にザ・シンフォニーホールでのセッション録音が行われ、今日の演奏会でもライブ収録が行われる予定である。
ウェーバーの歌劇「魔弾の射手」序曲。前半は「整えすぎ」という印象を受けたが、ラストに向けて盛り上がっていくライブ的趣向の演奏である。
ライネッケのフルート協奏曲。カール・ライネッケは1824年生まれのドイツの作曲家。ライプツィッヒを拠点として活動し、ゲヴァントハウス管弦楽団の指揮者を務めたほか、ピアニストとしても活躍。晩年にはライプツィッヒ音楽院の院長も務めた。生前はドイツ中にその名声が轟いていたという。
独奏のワルター・アウアーは、現在のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のソロ・フルート奏者である。オーレル・ニコレらに師事し、ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団、ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団の首席奏者を経て、2003年にウィーン・フィルおよびウィーン国立歌劇場の首席フルート奏者に就任している。
アウアーは自信満々で登場。オーケストラが始まると手をかざしたり振ったり指揮者のような動きをする。当たり前であるが飯森範親が指揮者としてちゃんといる。
アウアーは吹き始める前にコンサートミストレスの松浦奈々とフォアシュピーラーの西川茉利奈に、「指揮者よりも僕の音を聴いて付いてきてね」とでもいうように視線を送っていた。第2楽章の冒頭でも同様である。
ということでとにかくアウアーが主役の演奏である。アウアーのフルートは技術こそ完璧とまでは行かなかったものの音楽性がとにかく高くエレガントである。ちょい悪親父風の見た目や振る舞いとは正反対だ。この人はモテるんだろうな。
ライネットのフルート協奏曲であるが、とくにこれといったインパクトはないものの、ロマンティックな香りの漂う良い作品である。
アウアーはアンコールとして、今年が没後100年に当たるドビュッシーの「シランクス」を吹く。完成度の高い演奏だった。
後半、カリンニコフの交響曲第1番。飯森は同じザ・シンフォニーホールで関西フィルハーモニー管弦楽団を指揮してこの曲を演奏している。調べると、もう6年以上前のことである。
レコーディングを行うということで、リハーサルもセッションでも何度も演奏した曲だけにオーケストラの響きもエッジが立ち、コンサート前半とは大違いである。
飯森は強弱を丁寧に付けた演奏を行う。こうすることでオリエントな印象が強まったように感じられた。
金管がやや荒れ気味であるが、ロシアの作曲家であるということを考えればこうした演奏も良いのかも知れない。第4楽章では大きく高揚し、センチュリーで演奏するには熱すぎる解釈とも思えたが、出来自体は充実したものであった。おそらく、録音としても良いものが出来たのではないだろうか。
演奏終了後、飯森は客席に向けてスピーチ。「カリンニコフという作曲家は若くして亡くなっています。34歳。35歳の誕生日を目前にして亡くなりました」「お金にならない仕事ばっかりしていたんですが」「チャイコフスキーに憧れていて認められて」ということで、チャイコフスキーのバレエ音楽「白鳥の湖」より“四羽の白鳥の踊り”がアンコールとして演奏される。丁寧な仕上がりであった。
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