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2018年6月27日 (水)

楽興の時(22) 「テラの音」 Vol.11 初夏を楽しむオリジナル・コンサート

2018年6月23日 左京区北白川の真宗大谷派圓光寺にて 午後6時30分から、北白川の真宗大谷派圓光寺で「テラの音(ね)」 V0.11 初夏を楽しむオリジナル・コンサートを聴く。京都市内の寺院で行われている無料コンサート「テラの音」。今回はタイトル通り圓光寺での11回目のコンサートとなる。 真宗大谷派圓光寺は、茶山の裏手、坂の中腹にある。2キロほど北に観光寺である臨済宗の圓光寺があるので少し紛らわしい。新たにホームページを開設したそうだが、知名度では臨済宗の圓光寺の方が上のため、検索順位がなかなか上がらないそうである。ちなみに真宗王国である広島にも真宗大谷派の圓光寺があるようで、現時点では広島の圓光寺の方が上に出てくる。 今回は、ヴァイオリンの村瀬響とピアノの丸野敬尚(たかひさ)によるデュオコンサートだが、後半には大阪フィルハーモニー交響楽団に客演チェロ奏者として出演することも多い一樂恒(いちらく・ひさし)が加わる。一樂は今日も大阪での大フィルの演奏会に客演していたそうで、それが終わってから圓光寺まで駆けつけたそうである。 村瀬響は、桐朋学園大学カレッジディプロマコースを卒業。2013年に西京区の青山音楽記念館バロックザールでオール・フランスプログラムのリサイタルを行い、2015年から一樂恒とのデュオ「響樂(きょうらく)」としても活動している。現在は、SONYミュージックのstand up! classicのコンサートマスターも務める。 丸野敬尚は幼時よりピアノを始め、文字よりも早く譜面の読み方を覚えるという、モーツァルトのようなエピソードの持ち主。「島本音楽連盟」の役員でもある。 村瀬と丸野は共に大阪府島本町にずっと住んでいたのだが、知り合いになったのは最近だそうである。

曲目は、第1部が丸野敬尚の「ルミネセンス」、マスネの「タイスの瞑想曲」、フォーレの「子守唄」、ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」、ドビュッシーの「美しき夕暮れ」、マイケル・ジャクソンの「スムースクリミナル」、エン二オ・モリコーネの映画「海の上のピアニスト」より“playing love”、ファイナルファンタージ13より「閃光」、米津玄師の「打ち上げ花火」、第2部が村瀬響の「Drive/Violin」、「Join」、「Kyo-Raku」、「残火」、「スプレーマム」、丸野敬尚の「パーティクル」、村瀬響の「Clover Leaf」。一樂恒は「Join」から加わる。

第1部はフランスものの曲が並ぶが、マスネの弟子がフォーレで、フォーレの弟子がドビュッシーという風に年代順に並んでいる。フォーレとドビュッシーは仲が悪かったそうだが、どちらかというと保守的なフォーレに対してドビュッシーは音楽の革命児、しかも同じ女性を二人で取り合うということがあったため、不仲なのは当然ともいえる。 ドビュッシー作品のピアノの浮遊感は独特であり、ドビュッシーが特異な作曲家であったことがよくわかる。 「海の上のピアニスト」は映画作品だが、市村正親による一人芝居にもなっており(市村正親がピアノを弾くシーンはなし。ピアノ担当は稲本響)、私は舞台版も観ている。春秋座での上演だったと思うが、記憶が定かでない。 第2部から参加した一樂恒は京都出身のチェリスト。3歳からチェロを始め、京都市立芸術大学音楽学部卒業後、フリーランスのチェロ奏者として活躍しているが、大阪フィルハーモニー交響楽団や京都市交響楽団に客演として加わることも多い。 自作の演奏ということもあって自信に満ちており、いつも演奏している仲間ということで息もぴったりと合った温かな演奏が繰り広げられる。 アンコールは「情熱大陸」。活きの良い演奏であった。

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