コンサートの記(397) ジョセフ・ウォルフ指揮 日本センチュリー交響楽団第225回定期演奏会
2018年5月31日 大阪・福島のザ・シンフォニーホールにて
午後7時から、大阪・福島のザ・シンフォニーホールで、日本センチュリー交響楽団の第225回定期演奏会を聴く。今日の指揮者はイギリス出身の若手、ジョセフ・ウォルフ。
ジョセフ・ウォルフは、実はサー・コリン・デイヴィスの息子である。だが、親の七光りを嫌い、芸名で活躍している。ロンドンの王立音楽院と、ドレスデンのカール・マリア・フォン・ウェーバー大学でヴァイオリンをジョルジ・パウクらに師事。アマデウス弦楽四重奏団、ボロディン弦楽四重奏団、タカーチ・カルテットと共に室内楽の経験も積み、ウォルフ・カルテットを結成している。指揮は、コンラート・フォン・アーベル、ヨルマ・パヌラ、クルト・マズア、小澤征爾らに師事。カール・マリア・フォン・ウェーバー大学在学中にブランデンブルク・フィルの指揮者に就任している。その後、イギリスに戻り、ギルドホール音楽演劇学校でも学んでいる。
オール・ベートーヴェン・プログラムで、「コリオラン」序曲 作品62、ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品61(ヴァイオリン独奏:クロエ・ハンスリップ)、交響曲第4番 作品60。作品番号の並んだ作品をプログラミングしている。
今日のコンサートマスターは、後藤龍伸(たつのぶ)が務める。
ジョセフ・ウォルフ登場。口髭と顎髭を伸ばしており、写真とは大分イメージが異なる。
「コリオラン」序曲。ピリオドを援用した演奏で、燃焼度、ドライブ能力共に高い演奏である。
ヴァイオリン協奏曲ニ長調。ソリストのクロエ・ハンスリップは、1987年生まれの若手。ピアニストのダニー・ドライバーと共にベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集を作成している。ロシア人教師のザハール・ブロンに10年間学び、クリスティアン・テツラフ、イダ・ヘンデル、サルヴァトーレ・アッカルドにも師事している。
ハンスリップは美音家。スケールはさほど大きくないが、磨き抜かれた音が心地よい。
交響曲第4番。ここではかなりピリオドを意識した演奏を聴かせる。急激な音の盛り上げ、典雅なピッチカートなど美しさと力強さを兼ね備えた音楽を生み出していく。
ウォルフの指揮はそれほどダイナミックではなく、指揮姿も個性的ではないが、音楽同様、イギリス的なエレガントさとドイツ的な堅固な構築感を感じさせるものであった。
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