コンサートの記(398) 作曲家 平田聖子の世界 「親鸞が音楽で現代に甦る。」
2018年6月10日 京都コンサートホールにて
午後2時から京都コンサートホールで、作曲家 平田聖子の世界 「親鸞が音楽で現代に甦る。」を聴く。
平田聖子は愛知県出身の作曲家。愛知県立芸術大学音楽学部作曲科で小林秀雄(著名な批評家とは別人)に作曲を師事。1995年より宗教音楽の作曲をライフワークに定め、親鸞の世界を作曲し始めている。
出演は、親鸞和讃を歌う会合唱団、大阪ゲヴァントハウス合唱団、波多野均、大田亮子、三輪陽子、伊藤公一、居福健太郎、垣内みどり、中西俊哉、中西雅音(まさお)、戸塚ふみ代、石橋直子、佐久間真理、羽塚知啓(はつか・ともひろ)、荒山淳。平田聖子は司会と指揮を務める。
演目は小品が並ぶ。「破闇(はあん)」(龍笛のための)、「弥陀の本願信ずべし」、「南無阿弥陀仏をとなるれば」、「金剛堅固の信心の」、「信は願より生ずれば」、「十方微塵世界の」、「白骨章」、清風宝樹をふくときは」、「桜の森の満開の下」(弦楽四重奏のための)、「天地いっぱい なむあみだぶつ」、「本願力のめぐみゆえ」
浄土真宗のコンサートということで関係者も多く、普段の京都コンサートホールとは雰囲気が異なる。出演者は名古屋に縁のある人が多く、名古屋にある真宗大谷派の同朋大学の教員が2名(佐久間真理、荒山淳)、名古屋芸術大学の教員が3人(波多野均、伊藤公一、石橋直子)、名古屋フィルハーモニー交響楽団の関係者が3名(中西俊哉、戸塚ふみ代、石橋直子)、愛知県立芸術大学関係者が平田聖子を含めて5名(波多野均、三輪陽子、垣内みどり、戸塚ふみ代)、そして真宗大谷派の名古屋音楽大学の出身である大田亮子に名古屋東照宮雅楽部所属の羽塚知啓(篳篥&コントラバス)という顔ぶれである。
平田聖子の作風であるが、メロディーよりも響きの作曲家であることが感じられる。弦楽の合奏を聴くと宗教音楽の作曲家であると同時に現代音楽の作曲家であることもわかり、仏教音楽、童謡、印象派、黒人霊歌風など幅広い作風を誇っていることも確認出来る。
合唱とメゾソプラノ、アルト、テノール、室内楽という編成による「清風宝樹をふくときは」は、フルートの旋律から察するにラヴェルの「ダフニスとクロエ」より日の出へのオマージュであるように思われる。
無料パンフレットの背面に、「弥陀の名号となえつつ」のボーカル譜が印刷されており、アンコールでは聴衆も一緒に歌う。関係者が多いということもあってか、みんな結構歌ってくれていた。
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