コンサートの記(399) 鬼束ちひろ CONCERT TOUR 「UNDER BABIES」大阪公演
2018年6月13日 ZEPP Nambaにて
午後7時から、Zepp Nambaで、鬼束ちひろ CONCERT TOUR 「UNDER BABIES」大阪公演を聴く。鬼束ちひろのコンサートに行くのは久しぶり、実に16年ぶりである。
鬼束ちひろの登場は、日本ポピュラー音楽史上においても大きなことだったと思うが、その後の彼女の音楽人生は順風満帆とはいえないものであった。
チケットを取るのが比較的遅かったので、2階席で聴く。ツアーグッズ売り場には長蛇の列が出来ていて、今もなお高い人気を誇っていることがわかる。
今回はピアノ三重奏(ピアノ:坂本昌之、ヴァイオリン:室屋光一郎、チェロ:結城貴弘)をバックに歌う。
デビュー曲である「シャイン」でスタート。「シャイン」はファーストアルバム「インソムニア」にもピアノ伴奏バージョンが収録されているが、今回のアレンジはシングルバージョン(もしくはPVで聴けるアンプラグド・バージョン)に近いものである。
鬼束らしい没入型の歌唱スタイル。発音に明瞭さを欠くように感じられたのだが、その原因らしきものが後に明かされることになる。
左手を動かしながらの歌唱は以前と変わらないが、昔とは違って女っぽい仕草を見せるようになった。三拍子の曲ではワルツを舞うような動きを見せたりもする。
「トリック」シリーズの主題歌となった、「月光」、「流星群」、「私とワルツを」の全曲が歌われるという豪華なセットリスト。その他にも、驚異的名曲として知られる「King of Solitude」、最高傑作の一つである「Infection」のほか、「CROW」、「青い鳥」、「edge」、「螺旋」、「僕等 バラ色の日々」などが歌われる。鬼束作品は内省的な歌詞を持つものが多いのだが、詞・サウンド共に伸びやかな「Sign」が印象に残る。「Infection」では“私に勝ち目などないのに”という歌詞を飛ばしてしまい、ハミングで切り抜けるという場面があるなど、結構ハラハラさせられたりもする。
ラストの曲の前に、「少し喋っていい?」と鬼束が語りかける。5月25日に最愛のお婆ちゃんが亡くなったそうで、怖くお葬式にも行けなかったそうだが、ずっと泣き明かしていたそうで、今回のツアーも出来るかどうかわからなかったほどだったという。多分、歌唱にも影響が出たのだろ。
祖母に捧げる曲として、「VENUS」が歌われる。
鬼束とバックメンバーが引っ込み、新曲である「ヒナギク」が流れ始めてからも拍手は鳴り続け、当人達も迷ったようだが、結局アンコールなしで終わりとなる。それでも客席からは温かい拍手が送られた。
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