コンサートの記(402) 京都岡崎音楽祭 2018 OKAZAKI LOOPS タンブッコ・パーカッション・アンサンブル コンサート
2018年6月24日 左京区岡崎のロームシアター京都ノースホールにて
午後1時から、左京区岡崎のロームシアター京都ノースホールで、京都岡崎音楽祭 2018 OKAZAKI LOOPS タンブッコ・パーカッション・アンサンブル コンサートを聴く。
タンブッコ・パーカッション・アンサンブルは、1993年に結成されたメキシコの打楽器アンサンブル。アメリカのグラミー賞に4度ノミネートされるなど評価が高い。日本では2011年に国際文化交流基金賞を受賞しており、「題名のない音楽会」にも出演経験がある。
芸術監督のリカルド・ガヤルドが英語でのトークを行いながら演奏を進めていく。メンバーはリカルドと、アルフレッド・ブリンガス、ミゲル・ゴンザレス、ラウル・トゥドンの4人。
曲目は、グリフィンの「過去の化学作用の持続」、パーカーの「石の歌、石の踊り」、ラウル・トゥドンの「風のリズム構造」、ライヒの「マレット・クァルテット」、インファンソンの「エマトフォニア(あざのできる音楽)」、ブリンガスの「バランコ」
タイトルからわかる通り、現代音楽を中心とした演目である。
現代音楽といっても難解なものは少なく、ポップで心地よい作品が並ぶ。グリフィンの「過去の化学作用の持続」やライヒの「マレット・クァルテット」などは洗練されており、今日は演奏されなかったがグラハム・フィットキンなどが好きな人にも薦められる。
パーカーの「石の歌、石の踊り」は二つの石を打ち合わせたり、擦ったりして音を出す音楽。芸術監督のリカルド・ガヤルドが石を叩いて、モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の冒頭を奏でたり、「石(ロック)を使ったから、これはロックコンサートだよ」と冗談を言うなど、ユーモアのセンスにも富んでいる。
メンバーの一人であるラウル・トゥドンの「風のリズム構造」には、先週、タンブッコ・パーカッション・アンサンブルのメンバーがワークショップを行った京都市立錦林小学校の児童が参加。録音された音楽が流れる中、様々な打楽器が空間を埋めるように打ち鳴らされる。偶然性の高い音楽であり、同じ演奏は二度と出来ないということで瞬間瞬間が貴重となる。
ライヒの「マレット・クァルテット」が演奏される前に、リカルドはマリンバでiPhoneの着信音を奏で、グロッケンシュピールでは新幹線の「間もなく」の時に流れるチャイムを再現する。
インファンソンはメキシコのジャズの作曲家だそうだが、彼が書いた「エマトフォニア(あざのできる音楽)」は、ボディーパーカッションによる音楽。体を叩くので、思わぬ所に痣が出来ることがあるという。各メンバーがソロを取るが、ラウル・トゥドンは頬を叩いて音を出し続けたため、顔が真っ赤になる。この曲では、聴衆も出演者に促されて手拍子をしたりタンギングを行ったりした。
ブリンガスの「バランコ」は、フラメンコなどで用いられるカホンをフィーチャーした作品。今日は東福寺の塔頭内にある遼天Cajon工房で作られたカホンを4人が用いるということで、遼天Cajon工房の石原守宏住職も客席に来ており、リカルドに紹介された立ち上がった。
この曲ではリカルド・ガヤルドが、「パーカッションではないんだけど」と前置きした上で導入部と中間部でギターを演奏していた。
アンコールとしてまず2台のマリンバでメキシコ民謡「泣き女」が演奏され、ラストにはライヒの「木片のための音楽」が演奏される。「泣き女」はメロディアス、「木片のための音楽」はノリノリで、客席も大いに盛り上がった。
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