コンサートの記(427) 広上淳一指揮 第4回・京都市ジュニアオーケストラコンサート
2009年2月1日 京都コンサートホールにて
午後2時から、京都コンサートホールで、第4回京都市ジュニアオーケストラコンサートを聴く。指揮・スーパーバイザー:広上淳一。
京都市ジュニアオーケストラは10歳から22歳までのメンバーによる若いオーケストラ(今回の出演者の最年少は13歳であった)。楽器が出来ることが入団の条件であり、音楽を専攻している若者だけではないとのことである。弦楽パートには京都市交響楽団の団員も加わっての演奏。
プログラムは、シャブリエの狂詩曲「スペイン」、グノーの「ファウスト」からのバレエ音楽、ベートーヴェンの交響曲第7番。
青少年のオーケストラということもあって、パワー不足は感じられたが、音は磨かれていて美しい。
狂詩曲「スペイン」では広上が普通は強調しないところを強調していたり、「ファウスト」からのバレエ音楽では指揮台狭しとばかりに動き回っていたり、例によって個性的な演奏を指揮姿で魅せる。狂詩曲「スペイン」では金管に肺活量の問題を感じたが、「ファウスト」からのバレエ音楽も含めて、弦楽パートはかなり充実している。音の厚みはないが、響きの美しさは相当なハイレベルである。
ベートーヴェンの交響曲第7番。リズムを重視して書かれたこの曲のリズムを広上は徹底して追求。普通の演奏なら流してしまうところも広上はじっくりと音を刻んでいく。京都市ジュニアオーケストラのメンバーが若いためか、音が明るく、溌剌としている。そのため、渋さには欠けるが、躍動感溢れる演奏になった。広上は楽譜に指定された反復を全て履行していたようで、長めの演奏になったが、聴き応えがあった。やはり広上のベートーヴェンは良い。
アンコールでは、京都市ジュニアオーケストラの合奏指導に当たった、京都市立芸術大学の秋山愛美さん(指揮科4回生)と、粟辻聡さん(指揮科2回生)が登場。広上と三人で、ブラームスのハンガリー舞曲第5番を演奏する。粟辻→秋山→広上の順に指揮台に上がる。
秋山さんの指揮は、実は3年前に京都市北文化会館の京都市立芸術大学の演奏会で接したことがある。その時と今と指揮姿はほとんど変わっていない。手先を動かしてオーケストラを整える感じ。まあ、そう簡単に進歩はしないわな。
広上の指揮になると、オーケストラの音の合間から突如として熱いものが噴き出すのがわかる。あれは一体何なのだろう。いつも不思議に思うのだが、指揮者の力というのは目に見えない部分の方が大きい。その力の正体は指揮者本人でもわからないようだ。色々な指揮者のインタビューを読んでもそう感じる。
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