コンサートの記(431) パスカル・ロフェ指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団第426回定期演奏会
2009年3月12日 大阪・福島のザ・シンフォニーホールにて
午後7時開演の大阪フィルハーモニー交響楽団第426回定期演奏会に接する。今日の指揮者はフランス人のパスカル・ロフェ。プログラムもオール・フランスものである。
指揮者のパスカル・ロフェは、指揮活動と同時に、パリ音楽院指揮科のマスタークラスを受け持って、教育に力を入れている人とのこと。
ドビュッシーの交響組曲「春」、1955年生まれの現役の作曲家であるパスカル・デュサパンの「エクステンソ」(日本初演)、ラヴェルのバレエ音楽「ダフニスとクロエ」全曲が演奏される。
ロフェは全編ノンタクトで振る。
ドビュッシーの交響組曲「春」は、ドビュッシーの初期作品のためか、それともドイツものに長年取り組んできた大阪フィルの個性ゆえか、その両方が相まってか、ドビュッシーというよりワーグナー作品に近い響きがする。金管の響きがリアルな、ユニークな演奏であった。
デュサパンの「エクステンソ」。「エクステンソ」とは「引き延ばす」という意味だという。蜂の羽音のようなヴァイオリンの響きに始まり、各楽器がそれぞれの音を奏でるが、各楽器群を個々に追うのではなく、全体の響きを俯瞰するように聴くと、巨大な一つの流れのようなものを感じることが出来る。「エクステンソ」は、「オーケストラのためのソロ」というタイトルの作品群の中の一作だが、巨視的に眺める(巨聴的に聴き取る?)とオーケストラを使って巨大な単一旋律のようなものが奏でられているのがわかる。パイプオルガン的な発想で書かれたのだろうか。
ラヴェルの「ダフニスとクロエ」全曲。この曲には思い出がある。NHK交響楽団の定期演奏会でこの曲が演奏された時のことである。渋谷のNHKホールにて、指揮はシャルル・デュトワ。土曜のマチネーだった。第2部の途中で合唱のみの部分があるのだが、そこに差し掛かった時に地震が起こったのだ。震度3であったが、かなり揺れた。それでもデュトワは曲を止めずに最後まで演奏した。もし揺れたのがオーケストラパートの時であったらどうなっていたのだろう。動揺した楽団員が演奏を止めていただろうか。その日のコンサートマスターのYさんは、地震の発生と同時に身をかがめていたし。
さて、ロフェの大フィルの「ダフニスとクロエ」。合唱は大阪フィルハーモニー合唱団が受け持つ。
大フィルのサウンドにもっと立体感があると良かったのだが、第3部のラストなどは白熱した演奏であり、大阪フィルハーモニー合唱団もまずまずの仕上がりであった。
今日は金管の精度が今一つ。音ももっと洗練されたものが欲しくなる。
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