コンサートの記(435) 準・メルクル指揮 京都市交響楽団第627回定期演奏会
2018年9月22日 京都コンサートホールにて
午後2時30分から、京都コンサートホールで京都市交響楽団の第627回定期演奏会を聴く。今日の指揮者は準・メルクル。
日独ハーフの準・メルクル。NHK交響楽団を始め日本各地のオーケストラに客演しており、お馴染みの存在である。1959年、ミュンヘン生まれ、ハノーファー音楽院でヴァイオリン、ピアノ、指揮を学び、セルジュ・チェリビダッケ、グスタフ・マイヤーらに師事する。1986年にドイツ音楽評議会の指揮者コンクールで優勝。その後、タングルウッド音楽祭でレナード・バーンスタインと小澤征爾に師事。ザールラント州立劇場とマンハイム国立劇場の音楽監督を務める。
リヨン管弦楽団音楽監督の時代には、NAXOSレーベルに「ドビュッシー管弦楽曲全集」を録音。ライプツィッヒのMDR交響楽団(中部ドイツ放送交響楽団。旧ライプツィッヒ放送交響楽団)の首席指揮者としても活躍した。
1997年にNHK交響楽団を指揮して日本デビュー。N響の年末の第九でおそらく初めてピリオド・アプローチを用いた指揮者である。N響とは「シューマン交響曲全集」を作成。現在は国立音楽大学の招聘教授も務めている。2012年にフランス芸術文化勲章・ジュヴァリエを受章。
曲目は、ワーグナーの歌劇「タンホイザー」から序曲とヴェヌスベルクの音楽、グリーグの「ペール・ギュント」組曲第1番、ブラームスの交響曲第4番。
今日もコンサートマスターは客演で、豊嶋泰嗣が入る。フォアシュピーラーに泉原隆志。ヴィオラの首席には店村眞積。今日は木管楽器の首席奏者は大半がブラームスのみの出演である。
ワーグナーの歌劇「タンホイザー」から序曲とヴェヌスベルクの音楽。
メルクルはワーグナーを得意としており、豊かなスケール、堂々とした音楽作り、各楽器のバランスの妙など、いずれも感服に値するレベルの音楽を聴かせる。ヴェヌスベルクの音楽のマジカルな味わいも最上級だ。
グリーグの「ペール・ギュント」組曲第1番。リリカルな「朝」、厳しく重い「オーセの死」、蠱惑的な「アニトラの踊り」、怒濤の迫力を見せる「山の魔王の宮殿で」、全ての曲で表情豊か且つ詩情にも富んだ音楽作りで聴く者を魅了する。
メインであるブラームスの交響曲第4番。管楽器に首席奏者が揃っただけあって、音圧と音の厚みが加わり、ドイツ的な味わいの濃いブラームスとなる。ブラームスの感傷性には流されず、暑苦しくなりすぎないよう音の流れを丹念に追った演奏。京響の響きも輝かしさと渋さを併せ持ち、オーケストラ演奏の王道を行く佳演となった。
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