コンサートの記(447) 「時の響」2018楽日 大ホール第2部 広上淳一指揮京都市交響楽団 広上淳一リクエスツ「思いをはせた『西洋』の音楽文化」
2018年10月21日 京都コンサートホールにて
京都コンサートホールで行われている「時の響」2018の楽日。大ホールでの第2部は、広上淳一リクエスツ「思いをはせた『西洋』の音楽文化」というタイトルのコンサート。日本の幕末明治維新期に初演された曲2曲を並べる。広上淳一指揮京都市交響楽団の演奏。司会も引き続き慶元まさ美が務める。午後2時開演。
演目は、岸田繁の「ほんの小さな出来事のためのファンファーレ」(管弦楽版)、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」、ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編曲)
まず、くるりの岸田繁の新曲が演奏される。昨日、同曲の吹奏楽版が西村友指揮オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラによって初演され、今日は管弦楽版の初演である。
「大脱走」のテーマを連想させる作品。広上も楽しげな音響を築く。
演奏終了後、広上は客席の方に向かって「作曲者の岸田さん、いらっしゃいますか?」と聞き、岸田繁が立ち上がって拍手を受けた。
ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」。京響首席フルート奏者の上野博昭の妙技が披露される。
広上は見通しの良いクリアな音作りと、おぼろげでアンニュイな雰囲気の両方を上手く出し、理想的なドビュッシー演奏となった。
ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」。演奏前に、慶元が、「『プロムナード』が流れる時に、スクリーンに京都市内各所の今と昔の映像が流れます」と説明。三条大橋、新京極、堀川通、四条通、烏丸通、八坂の塔(法観寺)、大原道(鯖街道)などの現在と1910年代の映像が対比される形で投影された。八坂の塔だけは東山に近く景観保存がなされているため今とほとんど変わらない。
演奏は素晴らしい。ハラルド・ナエスの吹く冒頭のトランペットから抜群の造形美を誇り、美しさとパワーの両方を兼ね備えた演奏が繰り広げられる。
広上指揮京都市交響楽団の演奏による「展覧会の絵」は以前にも聴いたことがあるが、より引き締まりつつも柔軟性のある演奏が行えるようになっている。
ラストの「キエフの大門」の迫力も圧倒的。小柄な広上が京響から豊かなスケールを引き出すのも面白い。小さなものが大きな力を生み出す様は、視覚的にも効果的だ。
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