コンサートの記(453) 尾高忠明指揮大阪フィルハーモニー交響楽団 「ベートーヴェン交響曲全曲演奏会Ⅳ」
2018年11月15日 大阪・中之島のフェスティバルホールにて
午後7時から、大阪・中之島のフェスティバルホールで、尾高忠明指揮大阪フィルハーモニー交響楽団による「ベートーヴェン交響曲全曲演奏会 Ⅳ」を聴く。今日演奏されるのは、交響曲第8番と第7番。
今日のコンサートマスターは、須山暢大。大フィルの基本ポジションであるドイツ式現代配置での演奏。第1ヴァイオリン16型という大編成である。ちなみに第2ヴァイオリンは客演5名を含めて今日も全員が女性となった。
交響曲第8番。ベートーヴェン自身が出来に自信を持っていた曲であるが、世間的な人気はベートーヴェンの交響曲の中でも下の方となっている。全編を通して明るい曲調であり、洒落っ気にも満ちている。
ピリオド・アプローチを援用した演奏で、弦のノンビブラートと独特のボウイングが確認出来る。ただ大編成であるため音が痩せることはなく、輝かしくも重厚というベートーヴェンに似つかわしい音が奏でられる。
尾高と大フィルは「等身大」という言葉がピッタリくる演奏。大風呂敷を広げることなく誠実な再現芸術が展開される。音色が明るいため、躍動感も生き生きと伝わってくる。もっと野性味があっても良いと思うが、これが尾高のスタイルなのだろう。
交響曲第7番。ベートーヴェンの交響曲の中で、初演時から今に至るまで一貫して高い評価を受けているという珍しい作品である。リズムを強調した、当時として斬新な曲想なのだが、一聴して「血湧き肉躍る」という言葉が浮かぶ作品であるため、受け入れられやすかったのだろう。
大フィルは金管パートがやや弱いが、弦の力強さがそれを補って余りあるだけの魅力となる。リズムを特に強調はしていないが、キレ味は鋭く、全楽章を通して端正なフィルムが耳を奪う。硬めの音によるティンパニの強打も効果的で、幅広い客層に訴えかける演奏になっていたと思う。
最後は尾高が指揮台の上から「あと1曲、お聴き下さい」と語ってお開きとなった。
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