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2018年11月29日 (木)

コンサートの記(457) 第35回ペトロフピアノコンサート―異国の情景― 河合珠江

2017年12月1日 京都芸術センサー講堂にて

午後7時から、京都芸術センター講堂で、第35回ペトロフピアノコンサート-異国の情景-を聴く。元明倫小学校が所蔵しているチェコのペトロフ社のピアノによるコンサート。演奏は河合珠江。

現在は京都芸術センターとなっている明倫小学校出身の日本画家、中村大三郎の屏風絵「ピアノ」(今日弾かれるピアノを描いたものだという)の原寸大のレプリカを制作することを企図してのコンサート。ということで、ピアノの河合珠江は絵に出てくる女性同様、着物を着ての演奏である。

曲目は、前半が、ショパンのワルツ第1番「華麗なる大円舞曲」とノクターン第2番、リストのペトラルカのソネット第104番、シューマンの「蝶々」と「トロイメライ」。後半は、メシアンの「鳩」、ラヴェルの「悲しい鳥」と「水の戯れ」、松平頼則(まつだいら・よりつね)の「シャボン玉」と「リードⅠ」、ドビュッシーの「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」と「ゴリウォークのケークウォーク」(いずれも『子供の領分』より)、「亜麻色の髪の乙女」、「途絶えたセレナード」、アルベニスの「コルドバ」と「セギディーリャ」(「スペインの歌」より)。

前半は慣れない着物での演奏ということもあったのか、ミスタッチがあったり音型が崩れたりということもあって、後半の方が出来が良い。特にフランスものは河合のピアノスタイルに合っているように感じられた。ちなみに、松平頼則の「シャボン玉」の出だしは、先に弾かれたラヴェルの「水の戯れ」の冒頭を逆さにしたものだそうで、松平のラヴェルに対する愛情が感じられるという。「シャボン玉」はこれまで録音されたことがなかったのだが、河合珠江によって世界初録音が行われたそうで、会場では「シャボン玉」を収めたCDも販売されていた。

ペトロフのピアノは、まろやかな音で奏でられる。講堂ということもあって、響きはそれほど良くないが、「明倫小学校時代に、ここで奏でられ続けたのだ」という歴史が感じられる演奏会であった。
前回、河合珠江のピアノを聴いたのは、「妖怪」をテーマにした音楽会であり、その時、河合は猫娘の格好をしていた。今回は着物ということで、普通のピアニストがしない格好での演奏を聴くことが続いている。

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