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2018年12月29日 (土)

コンサートの記(485) 下野竜也指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団第436回定期演奏会

2010年3月18日 大阪・福島のザ・シンフォニーホールにて

午後7時から、ザ・シンフォニーホールで大阪フィルハーモニー交響楽団の第436回定期演奏会に接する。今日の指揮は下野竜也。

プログラムは、ベートーヴェンの「アテネの廃墟」序曲、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番(ヴァイオリン独奏:ルノー・カプソン)、ブルックナーの交響曲第1番(ウィーン稿)。


1969年生まれの下野竜也は指揮者としてはまだ若いが、年に似合わぬ熟した音楽を作る指揮者である。

ベートーヴェンの「アテネの廃墟」序曲とモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番の伴奏は室内オーケストラ編成での演奏。

「アテネの廃墟」序曲は見通しの良い演奏であった。

もともと今日の協奏曲はモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」の予定であったが、ソリストの強い希望により、曲目が変更になった。モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番のソリストである、ルノー・カプソンのヴァイオリンは、音が磨き抜かれており、スケールも大きい。

下野指揮の伴奏は風通しが良く爽やかで、典雅さにも欠けていない。


メインのブルックナーの交響曲第1番。

ブルックナーの交響曲第1番は演奏会のプログラムに載ることが極めて少なく、載ることがあっても通常はリンツ稿が用いられ、今日のようにウィーン稿が演奏されるのは珍しい。

ちなみにリンツ稿は初演に用いられた版で、1935年にハースの校訂による楽譜が出版されている。それに対してウィーン稿は1890年から91年にかけてブルックナー自身が改訂した版で、楽譜が出版されたのは1979年と比較的最近であるようだ。普通に考えればブルックナー自身が改訂したウィーン稿が演奏される機会が多そうだが、楽譜が出版されたのが比較的新しいということもあってか、演奏に使われるのはリンツ稿が圧倒的に多いようだ。

当然ながら大編成による演奏。大編成であるだけに下野のオーケストラコントロールの巧みさが際立つ。

大阪フィルの音は輝かしく、下野の指揮に導かれて巧みな演奏を繰り広げる。ブルックナーの交響曲第1番は失敗作とはいわれないまでも、賞賛されることは少ない曲だが、それでも聴かせる。第1楽章の行進曲風の楽章は推進力に富み、第2楽章は澄み切った青空のような爽快な演奏が展開される。第3楽章の野人風のダンスや、第4楽章の歌も見事で名演となった。

下野竜也の統率力が際立った演奏会であった。

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