コンサートの記(472) トゥガン・ソヒエフ指揮トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団来日公演2009京都
2009年11月7日 京都コンサートホールにて
午後3時から京都コンサートホールで、トゥガン・ソヒエフ指揮トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団の来日演奏会を聴く。
トゥールーズはフランス南部の都市で、「バラ色の街」の異称でも知られている。
トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団はフランスのローカル色をよく残したオーケストラとして世界的に著名なオーケストラである。長くミシェル・プラッソンとコンビを組んで成長を遂げてきた。当初は市立のオーケストラであったが、のちに県立、更に国立オーケストラへと格上げされた。
トゥガン・ソヒエフは現在のトゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団の音楽監督。まだ30そこそこという若い指揮者だ。今年、ウィーン・フィルへのデビューを飾っている。
曲目は、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」、ブラームスのヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン独奏:諏訪内晶子)、ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」
トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団は濃厚な弦と、思いっ切り吹かれる管楽器群が個性的。一方、アンサンブルの精度は、先週聴いたシンシナティ交響楽団に比べると大雑把で、「細かいことは気にしない」といった気質が窺える。
ブラームスのヴァイオリン協奏曲の独奏者である諏訪内晶子は真っ赤なドレスで登場。予想よりも情熱的な演奏を展開する。情熱的でありながら気品にも溢れており、アンコールで弾かれたバッハは「高雅」の一言で表せる演奏であった。
メインの「展覧会の絵」は、冒頭からトランペットが思いっ切り吹かれるなど、フランス的な個性が全開の演奏である。この曲はノンタクトで振ったソヒエフのテンポはかなり速め。テンポの速さに金管奏者の指が追いつかず、音が飛ぶ箇所も散見される。
技術的には完璧とはいえないが、個性で聴かせるユニークな演奏であった。
アンコールは、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」より“こんぺい糖の精と王子のパドドゥ”と、ビゼーの「カルメン」前奏曲。「カルメン」前奏曲は快速テンポの若々しい演奏であった。
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