コンサートの記(494) イオン・マリン指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団第438回定期演奏会
2010年5月20日 大阪・福島のザ・シンフォニーホールにて
午後7時から、ザ・シンフォニーホールで大阪フィルハーモニー交響楽団の第438回定期演奏会を聴く。今日の指揮は大阪フィル初登場となるイオン・マリン。
イオン・マリンはルーマニアの生まれ。ブラレストのジョルジュ・エネスコ音楽院で学んだ後、ザルツブルク・モーツァルティウム音楽院、イタリアのキジアーナ音楽院に学び、その後西側へ亡命。クラウディオ・アバドが音楽監督を務めていたウィーン国立歌劇場の常任指揮者となり、オペラやコンサートで活躍、知名度を上げている。
曲目は、ムソルグスキーの交響詩「禿げ山の一夜」、ラヴェルの組曲「クープランの墓」、ムソルグスキー作曲ラヴェル編曲の組曲「展覧会の絵」。
「禿げ山の一夜」は大フィルが洗練された音を出す。普段のもっさりした大フィルと同じオーケストラとは思えないほどだ。曲のラストは通常とは異なり、リムスキー=コルサコフ版のままではなく、ムソルグスキーの原典版を使用。いつも終わるところで終わらず、聴き慣れない音型が続くが、一貫して洗練された演奏スタイルのためか違和感はなかった。
ラヴェルの「クープランの墓」も洗練を極めた演奏。設立当初から一貫としてドイツものを手掛けてきた大阪フィルに、フランス音楽が馴染むという印象はないが、今日はオーケストラが大フィルなのだということを忘れて音楽を楽しむことが出来た。
メインの「展覧会の絵」。冒頭のトランペットに始まり、金管群によるプロムナードが奏でられるが、ハーモニーの感覚が抜群である。リハーサルでかなり鍛えられたのだろう。マリンの指揮は実にセンスが良く、テンポを速めても軽くは鳴らないし、遅くしても重々しい感じはしない。大阪フィルもチューバが若干音楽的弱さを感じさせた他は大健闘で、優れた「展覧会の絵」の演奏となった。
「展覧会の絵」は京都市交響楽団の4月定期のプログラムにも載っており、私も聴いたが、今日の大フィルの演奏の方が優れた出来映えだったように思う。
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