コンサートの記(495) 広上淳一指揮京都市交響楽団第535回定期演奏会
2010年5月21日 京都コンサートホールにて
午後7時から、京都コンサートホールで京都市交響楽団の第535回定期演奏会に接する。今日の指揮は常任指揮者の広上淳一。
曲目は、シューマンの交響曲第3番「ライン」、チャイコフスキーの幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」、ブラームスのヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン独奏:ボリス・ベルキン)。
午後6時40分頃から、広上淳一によるプレトークがある。グリーンの地に「京響」と白文字の染め抜かれたTシャツで広上さんは登場、シューマンの交響曲第3番「ライン」が、京都市交響楽団定期演奏会史上初めてプログラムに載る曲だということを告げる。交響曲第3番「ライン」は、かなりポピュラーな交響曲だが、それがなぜか京都市交響楽団の定期演奏会の演目には載ってこなかったのだそうだ。
その交響曲第3番「ライン」。広上の「ライン」は大阪フィル(大フィル)を指揮した演奏を生で聴いており、燦々と輝くような演奏であったことを記憶している。
今日の「ライン」は大フィルを指揮した時とは一味違い、やや渋めの音色を基調とし、構造を重視した演奏になっていた。第1楽章からパワーはあるが、それを爆発させることなく抑え気味にした大人の演奏である。爽やかな第2楽章、厳かな美しさのある第4楽章なども印象的。第5楽章はテンポの良い演奏であったが、いささかスポーティーであったのが残念なところだ。
休憩後の、「フランチェスカ・ダ・リミニ」。大編成による曲だが、広上の統率力は抜群であり、オケが朗々と鳴り響く。完成度の高い演奏であった。
ブラームスのヴァイオリン協奏曲のソリストであるボリス・ベルキンは、旧ソ連の出身。7歳でデビューしたという神童で、1973年にソヴィエト連邦ヴァイオリンコンクールで優勝。翌1974年に西側に移住し、活躍を続けている。広上淳一曰く、「世界で五本の指に入る」ヴァイオリニストである。
そのベルキンのヴァイオリンは、雄々しく、スケール雄大でありながら音は大変甘く美しいという、独特のもの。テクニックは抜群であり、歌も素晴らしく伸びやかだ。
広上指揮の京都市交響楽団の充実も特筆もので、世界レベルでも通じるような、ブラームスのヴァイオリン協奏曲の演奏であった。
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