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2019年1月15日 (火)

コンサートの記(507) 大植英次指揮大阪フィルハーモニー交響楽団第447回定期演奏会

2011年4月15日 大阪・福島のザ・シンフォニーホールにて

大阪まで出かける。大阪フィルハーモニー交響楽団の第447回定期演奏会があるのだ。午後7時開演。今日の指揮者は音楽監督の大植英次。大阪フィルの音楽監督としてのラストシーズン、定期初登場である。

曲目はレナード・バーンスタインの交響曲第2番「不安の時代」(ピアノ独奏:小曽根真)とシベリウスの交響曲第2番。


演奏前に、大植英次がマイクを持って登場して東日本大震災に哀悼の意を示し、災害の時に音楽を奏で続けて亡くなった例があり、それがタイタニック号沈没の時の楽士達だったと述べる。大植はコンサートマスターの長原幸太に指示して、指揮者なしでタイタニック号沈没の際に楽士達が弾いていたという「讃美歌320 主よみもとに近づかん」を最初は弦楽四重奏で、次いで弦楽全員で奏でる。


レナード・バーンスタインは大植英次の師。佐渡裕が「レナード・バーンスタイン最後の弟子」を自認していて、実際、その通りなのだが、レナード・バーンスタインの最晩年にアシスタントをしていたのは実は佐渡ではなくて大植である。

最近、急速に再評価が進んでいるレナード・バーンスタイン(愛称:レニー)の作品。レニーは交響曲を3曲残しているが、純粋な器楽交響曲はこの「不安の時代」のみ。ただ、「不安の時代」は交響曲でありながら、ピアノ協奏曲的な面も強い。

私自身は、「不安の時代」をCDで何度か聴いており、一部を佐渡裕指揮京都市交響楽団の演奏で聴いているが、今日は体調が悪いということもあって音楽が自然に体に入ってこない。ただ演奏がいいというのはわかる。小曽根のピアノは技術も表現も見事だし、大植指揮の大フィルも熱演であった。ただやはりホルンは今日も問題ありだし、今日はファゴットも不調だった。

小曽根はアンコールに応えて1曲弾く。最初は何の曲かわからなかったが、次第にレニーの「ウェストサイド物語」より「トゥナイト」のメロディーが浮かび上がってくる。ラストは同じく「ウェストサイド物語」の「クール」をアレンジした旋律で締めくくる。


シベリウスの交響曲第2番。本質的にはマーラー指揮者である大植のシベリウスということで興味深い(ちなみにシベリウスとマーラーは仲が悪かった)。

第1楽章。自然な感じで入る指揮者が多いが、大植は大きめの音でスタート。続くオーボエの音も明るく朗々としている。シベリウス指揮者の演奏で聴くと自然に理解できるところでも大植の指揮だと難渋に聞こえるところがあり、やはり大植とシベリウスは余り相性が良くないようだ。

第2楽章は、シベリウスの音楽よりも、その悲劇性を際立たせたような演奏。

勢いのある第3楽章を経て、最終楽章では大植らしいヒロイズムが勝った演奏になる。朗々とした凱歌(大植が振ると凱歌以外の何ものにも聞こえない)と、それまでの忍従を思わせる旋律の対比も上手く、交響曲第2番だけにこうした演奏もありだと思う。

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