コンサートの記(514) 村治佳織&リチャード・ヨンジェ・オニール デュオリサイタル2011伊丹
2011年11月3日 伊丹アイフォニックホールにて
この日は、午後7時から伊丹アイフォニックホールで、ギタリストの村治佳織とヴィオラ奏者のリチャード・ヨンジェ・オニールのデュオリサイタルがある。
村治佳織はもはや説明不要の人。日本を代表するギタリストである。リチャード・ヨンジェ・オニールは、ヨンジェというミドルネームからわかる通り、韓国系の人で、ジュリアード音楽院と南カリフォルニア大学でヴィオラを修めている。韓国ではアイドル的な人気があるようで、村治佳織はリチャード・ヨンジェ・オニールと韓国でデュオリサイタルを行ったときに、オニールに対する若い女性の黄色い声が凄かったと紹介した。
プログラムは、村治のギターソロでロドリーゴの「フェラリーフェのほとり」、村治とオニールの共演で、「スペイン民謡組曲」より4曲。シューベルトのアルペジオーネ・ソナタ(ヴィオラ独奏、ギター伴奏版)、J・S・バッハの無伴奏チェロ組曲第3番のヴィオラとギターのための編曲版(編曲:佐藤弘和)、村治のギターソロで、スタンリー・マイヤーズ作曲・ジョン・ウィリアムズ編曲(ジョン・ウィリアムズはギタリストである。同姓同名の映画音楽作曲家ではない)の「カヴァティーナ」とディアンスの「タンゴ・アン・スカイ」、ジナタリのチェロとギターのためのソナタ(ヴィオラ版)である。
真っ赤なドレスで登場した村治佳織は、持ち前の美音を生かした演奏で、「フェラリーフェのほとり」を披露する。
オニールと村治の共演。オニールは磨き抜かれた音を持つ演奏家で、村治との相性はピッタリである。ただアルペジオーネ・ソナタを演奏するにはちょっと音色が明るすぎるかなという印象を受けたのも確かである。
休憩を挟んで、後半。村治佳織は白いズボンの上に紺のワンピースという装いに着替えて出てくる。J・S・バッハの無伴奏チェロ組曲第3番、ヴィオラとギターのための編曲版。チェロ独奏とはかなり違った印象を受ける。ちなみにバッハは純音楽として作曲したが、編曲者の佐藤弘和により、ギターの妖精とヴィオラの王子が森の中で出会うという設定がなされ、6からなる曲全部に副題が付けられている。余計なことのようにも思えるが、まあ、聴くのに邪魔にはならないし、いいのだろう。
村治佳織によるギターソロ。「カヴァティーナ」も「タンゴ・アン・スカイ」も村治の十八番だが、「カヴァティーナ」はやや大味だったし、「タンゴ・アン・スカイ」は技術で何とかねじ伏せたという格好。流石の村治でも毎回名演というわけにはいかないようだ。
ジナタリのチェロとギターのためのソナタは村治、オニールともに好調で優れた出来となった。
アンコールはオニールが村治に紹介したというブラジル民謡「カント・アンティーゴ」。美演であった。
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