美術回廊(24) 兵庫県立美術館 「奇跡のクラーク・コレクション ルノワールとフランス絵画の傑作」
2013年7月5日 神戸・岩屋の兵庫県立美術館にて
阪神電鉄元町駅から、阪神電車普通電車に乗り、岩屋駅で下りて、兵庫県立美術館に向かう。現在、「奇跡のクラーク・コレクション ルノワールとフランス絵画の傑作」という展示会が行われており、米マサチューセッツ州ウィリアムズタウンにあるクラーク美術館所蔵のフランス絵画が展示されている。ほぼ全てが日本初公開となる作品であるという。
タイトルにもなっているルノワールの他に、クロード・モネ、ドガ、ルノー、ロートレックなどの画が飾られている。
ルノーの画は色彩は暗いが、立体感が見事である。
クロード・モネ(マネというよく似た苗字の画家がいたので、モネは必ず、クロード・モネと署名した)の画はタッチが淡く、光と影が同居するタッチが独特である。
ドガの画は、画面から音が聞こえてきそうな臨場感がある。
ピエール=オーギュスト・ルノワール(息子二人が有名人なのでフルネームで書いた)の人物画は外見の描写も勿論巧みだが、それよりモデルの性格や内面が滲み出るような描き方が特徴。日本製の団扇を持った少女を描いたタイトルもそのままずばりの「うちわをもつ少女」という作品は、ラ・ジャポニズムを代表する絵画である。
「テレーズ・ベラール」という少女を描いた画は、彼女の内気な内面がはっきりとわかるように描かれており、「巧い」の一言に尽きる。
ルノワールの風景画は、印象派の特徴である強くて淡い光を描写したもので、この世ではない理想郷が画の中に拡がっているかのようだ。また「日没」という画は印象派の手法が最も顕著に出ている作品で、ここまで行くとポスト印象派という印象を受ける。
貴族階級に生まれながら、足が不自由であり、36歳で若死にしたロートレックの画は2枚だけだが、いずれも陰鬱な雰囲気を醸し出している女性の画で、作者の早世を暗示しているかのようだ。
| 固定リンク | 0
コメント