コンサートの記(526) 柴田淳 「JUN SHIBATA CONCERT TOUR 2019 月夜PARTY vol.5 ~お久しぶりっ子、6年ぶりっ子~」大阪公演
2019年2月14日 大阪・新町のオリックス劇場にて
午後7時から、大阪・新町のオリックス劇場で、柴田淳の「JUN SHIBATA CONCERT TOUR 2019 月夜PARTY vol.5 ~お久しぶりっ子、6年ぶりっ子~」に接する。タイトル通り、柴田淳の6年ぶりとなり全国ツアーの大阪公演。ちなみに、しばじゅんはバレンタインデーが大嫌いのようである。
影アナのお姉さんが、「お久しぶりっ子、6年ぶりっ子」と真面目な声でアナウンスするのが妙に可笑しい。
オリックス劇場の3階には、ライブを行ったアーティストのサインが並んでいるのだが、それを確認すると柴田淳は、2013年7月15日にコンサートを開いていることがわかる。私も勿論、参加している。しばじゅんの公演に接するのはそれ以来だ。その間、柴田淳は、パシフィコ横浜国立大ホール(国立・大ホールである。横浜国立大学のホールではない)で公演を行っているが、私はその直前に神奈川県民ホールで歌劇「金閣寺」を2日間観ており、この公演は見送っている。
6年の間に、柴田淳は、病気で長期間入院したりと様々なことがあった。「6年の間、色々なものを奪われてきたな」と柴田淳は語る。
今回のツアーは、先月26日に東京でスタート。先に追加公演を行うという形になった。その後、名古屋、福岡を回り、今日の大阪公演である。今月27日に東京のNHKホールで千秋楽を迎える。
バックバンドは、五十嵐宏治(バンマス。ピアノ、アコーディオン)、石成正人(ギター)、松原秀樹(ベース)、江口信夫(ドラムス)、森俊之(キーボード)。衣装チェンジの時間には、ビートルズの「ノルウェイの森」のインストが演奏された。
6年の間にリリースされたアルバムに収められた楽曲のほか、「おかえりなさい。」、「melody」、「HIROMI」、「月光浴」、「桜日和」、「マナー」などが歌われる。柴田淳の調子はなかなか良いようだ。
今日は15列目の真ん中付近の席。視覚的には比較的良好だが、両端にあるスピーカーから聞こえる声は俗にいく「中空き」状態で、最初のうちは聴覚の調整に苦労する。
「おかえりなさい。」は、ダブルミーニングの歌詞が印象的であり、例えば「その優しいあなたが冷たくなるその日まで」の「冷たくなる」は感情的なものや態度の他に肉体的なもの、つまり「死」の意味が掛けられており、取り方を変えると情念のようなものが浮かび上がる。柴田淳は、こうしたところが巧みというか意地が悪い。
代表曲の一つである「月光浴」は、ライブで取り上げられる機会も多い。歌い終えた後、柴田淳は、「この曲は柴田淳の曲の中で唯一、振る歌」と解説。最近になって気がついたそうだ。
「桜日和」は、亡き愛犬のビビアンに捧げられた楽曲。そもそも「桜日和」が収められたアルバム『僕たちの未来』が全編レクイエムという異色構成である。これは柴田淳によって明言されてはいないが、構成を考えれば見えてくる。柴田淳は、「死」にまつわるアルバムタイトルをつけることが多いのだが、「僕たちの未来」も「行き着く先は死」と取れるタイトルである。こういうところも意地が悪い。
昨日、大阪入りして、夜中にちょこっと観光したのだが、「熟女クラブ」というお店の看板を見て、歌が駄目になったら転職しようかなと思ったらしい。そのことをInstagramに書くと某有名シンガーソングライターから、「予約させて下さい」とメッセージがあり、それに対して、「あーん! 来るの遅いからもう店閉めちゃった!」と書いて送ったのだが、後々読み返すと、熟女クラブというよりゲイクラブの人が書いたように見えるという話をする。ちなみにしばじゅんが考える熟女は50代や60代でまだ先のようだ。
アンコールとして、今回もライブ恒例のアカペラコーナーがある。聴衆のリクエストに応えて柴田淳が、アカペラで歌う。
まずは、「幻」なのだが、歌詞カードのタイトルが「幼稚園の『幼』になっている」そうである。
デビューシングル「僕の味方」では、キーを覚えていなかったため、最初は高めの声で歌ったが、「こんなに高かったですか?」とキーを下げてもう一度歌う。聴衆に「もっと高い」と言われて高めに歌い直すも、「嘘!」と言ってやめていた。
「蝶」をリクエストされたのだが、随分前の曲なので、歌詞を読み上げてもメロディーが浮かんでこない。なんとか思い出し、旋律を間違ったところもあったが、前半を歌った。
ファンの思い出の曲だという「あなたの手」も歌い、坂本真綾に楽曲提供した「秘密」もサビの一節を歌う。柴田淳の楽曲の大半はミディアムテンポのものだが、「秘密」はスピーディーなナンバーであり、柴田淳の作品としては異色である。
アンコールは3曲。まずは最新アルバム「ブライニクル」に収められた「嘆きの丘」。「ブライニクル」の中核をなす曲で、「『ブライニクル』はこの曲のために作られたんじゃないか」と話してからの歌唱。しばじゅんとしても自信のある楽曲のようである。
2曲目は、「なでなでしたい」と言う愛着のある曲「雨」。ロックバラードである。歌詞自体はしばじゅん特有のヒリヒリするものだ。
最後は、「科捜研の女」の主題歌にもなった「車窓」。この曲がラストというのも、柴田淳の心境を表してるようでとても良い。
過ぎ去った6年の歳月を慈しむかのような特別な時間であった。
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