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2019年3月 2日 (土)

スタジアムにて(12) 第95回 夏の全国高等学校野球選手権大会(2013) 木更津総合高校対西脇工業高校戦

2013年8月16日 阪神甲子園球場にて

夏の全国高校野球選手権。第2試合で千葉県代表の木更津総合高校(旧称は木更津中央高校。OBに中日ドラゴンズの与田剛などがいる)が、甲子園球場の地元である西脇工業高校(駅伝の強豪校として全国的に知られているが、野球部が甲子園に出るのは初めてである)と対戦するというので、阪神甲子園球場まで観戦に出かける。

野球を見るときの私の正装(野球観戦に正装も何もないと思うが)は、東京ヤクルトスワローズの帽子とレプリカユニフォームを着るというものである。甲子園は暑いので、帽子は絶対に必要だし、レプリカユニフォームはメッシュなので他の格好よりも涼しい。ただ、人目は引く。関西在住のスワローズファンは稀少な存在だからである。ということで、「ヤクルトファンなんているんだ」と話している人の声が聞こえたりする。

夏の全国高校野球選手権は、いつか観戦に行きたいとは思っていたが、これまでは、「甲子園は暑いことで有名だし、今年はテレビでいいか」ということを繰り返しているうちに、見る機会を逸し続けてきた。
ただ、Facebookを始めて、友人達が皆、阪神甲子園球場に出身都道府県の代表チームの試合を見に行っていることを知り、「野球好きだし、40歳までには甲子園で高校野球を見ようと思っていたので良い機会だ」と思い、観戦を決めた。

第2試合は正午プレーボールだが、「早めに行かないと座席が確保出来ない。おまけに相手は地元校だし」といういことで、午前9時には出発した。洛北から阪神甲子園球場まで行くには、叡山電車と京阪電車を乗り継ぎ、京阪祇園四条駅で降りて鴨川を渡り、阪急河原町駅から阪急京都線に乗って終点の阪急梅田駅まで行き、そこから少し歩いて、阪神梅田駅から神戸方向に向かう阪神電車に乗って甲子園駅下車、徒歩3分である。2時間ちょっと掛かり、千葉の自宅から神宮球場に到るまでよりも遠い。

案の定、チケット売り場は長蛇の列。誘導係員が、「内野自由席は列に並びましてもチケットが買えない可能性もございます。アルプススタンドならすぐにお入りいただけます」と呼びかけている。西脇工業のベンチがある一塁側はおそらく並んでもチケットは買えないだろうという長さであった。私は三塁側内野スタンドのチケットを求めようと思っていたが、列の長さからいって、「一塁側に入れない人が三塁側にすでに並んでいるな」と確信。木更津総合をそれほど熱心に応援したいわけではないのだが、三塁側アルプス席のチケットを買って入場した。

アルプススタンド2階席は出場校の生徒と応援団が使用しているため席の確保は難しいと読み、3階席に向かう。甲子園は酷暑で、3階席入り口では、おばさんが倒れており、そばに係員がいて担架を用意している。熱中症である。予想以上に甲子園が暑いらしいということを知る。

アルプススタンドでもなるべく内野に近い席をということで、まだ第1試合の8回の攻防が行われていたが、アルプススタンド右隅で立って試合を観戦する。第1試合が終わって席が空いたので座る。バッテリー間を金網越しに見る席であったが、ダイヤモンドに近いことは近いので納得はする。
とにかく日射しがきつい。浜風は吹いているが、アルプススタンドでは微風である。ということで、甲子園名物「かちわり」を売り子さんから買い、氷嚢代わりに頭の上に載せ、帽子で挟む。一応、スポーツドリンクは用意してきたが、すでにぬるくなってしまっているため、氷結したスポーツドリンクも別の売り子さんから買う。
三塁側自由席は、第1試合が終わっても観衆は余り入れ替わらない。アルプススタンドを選んで正解だったと思う。


木更津総合高校の先攻、西脇工業高校の後攻である。木更津総合は、初回にまず1点を取り、上々の滑り出しである。

ところが、その裏にアクシデントがある。木更津総合のエース、千葉がマウンドでの投球練習中に肩か肘を痛めてしまったのだ。第1球、第2球はスピードガン計測が出来ないほどの緩い球。始めのうちは、「打者のタイミングを外すためにわざとスローカーブを投げているのか」と思ったが、3球目が93キロ、4球目が96キロとあっては、「これは怪我をしたに違いない」と、ほとんどの観衆が気付く。野球のルールでは、先発投手は一人の打者との対戦を終えないと降板することは出来ないと決まっている。ということで、西脇工業の先頭打者との対戦を完了しないといけない。

千葉は、投球フォームをゆったりとしたものに変え、打者のタイミングをずらす作戦に出て、西脇工業の先頭打者を三振に斬って取ることに成功。千葉は降板し、背番号10の左腕、笈川がマウンドに上がる。打球がレフトポール際に飛び、あわや逆転ツーランホームランという当たりも打たれるが、ボールはポールの外側を通過、ファールとなり、笈川は初回を0点に抑えた。
木更津総合は2回にも2点を取り、3-0とリードする。追う西脇工業は3回裏に1点を返し、3-1と点差を縮める。

その後は、両チームとも堅守というよりは拙攻を重ねる展開が続き、気がついたら9回裏であった。木更津総合のピッチャー・笈川はヒットとフォアボール、更に暴投にフォアボールで、二死満塁。一打同点、長打か連打なら逆転サヨナラというピンチを招く。
だが、続く西脇工業の選手の当たりはファースト正面。ファーストがそのままベースを踏んでゲームセット。3-1で木更津総合高校が西脇工業高校を下した。


試合を見た後で、甲子園球場の外野下にある甲子園歴史館に入る。以前も訪れたことがあるが、今のシーズンは甲子園春夏連覇校を特集している。一昨日、甲子園球場における高校野球の最高球速タイ記録、初速155キロをマークした安楽智大投手(愛媛県代表の済美高校)が155キロを出した時の記念ボールも安楽投手のサイン入りですでに展示されている。

昨年の夏に、1試合における最多奪三振記録を塗り替えた松井裕樹投手(桐光学園高校。22奪三振)の記録達成記念ボールや、松井投手のグローブなども展示されている。松井投手を擁する桐光学園は今年の夏は神奈川県大会(予選)で敗退しているので、その後、松井投手からグラブを譲り受けたのか、あるいは今年はもうすでに松井投手は新しいグラブを使っていたのかはわからない。

夏の全国高等学校野球選手権開催期間中は当日の全試合終了後でも、バックスクリーンビュー(デーゲームの試合終了後に甲子園球場のバックスクリーンの上から、グラウンドやスタンドを臨むことが出来るというサービス)は行われない。ましてや、今現在は第3試合が行われている最中である。


その後、外野裏にある、甲子園優勝校の校名を銅板に記した「野球塔」を見て、甲子園神社の名前で親しまれている素戔嗚神社に参拝する。外野裏は浜風が強烈に吹いており、かなり涼しい。

素戔嗚神社の社紋は、同じく素戔嗚尊命を祭神とする(元はインドの神様である牛頭天王〈ごずてんのう〉との習合)八坂神社と同じ木瓜紋であった。八坂神社の社紋は織田信長の家紋である織田木瓜に似ているため、「以前は違う社紋であったが、織田信長が上洛を果たし、京都も領地とした際に、八坂神社は信長から干渉を受けるのを避けるために織田木瓜に似た社紋に変えた」という説があるが、甲子園素戔嗚神社の社紋も同じということは、素戔嗚尊命の紋が元々木瓜紋であったと考えるのが適当であるように思う。

なお、素戔嗚境内には、阪神タイガースの監督とシニアディレクターを務めた星野仙一の座右の銘である「夢」をボール型の石に刻んだ記念碑などがある。

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