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2019年4月14日 (日)

コンサートの記(545) 下野竜也指揮京都市交響楽団スプリング・コンサート2019

2019年4月7日 京都コンサートホールにて

午後2時30分から、京都コンサートホールで京都市交響楽団のスプリング・コンサートを聴く。

曲目は、ヴィヴァルディの2つのトランペットのための協奏曲ハ長調(トランペット独奏:ハラルド・ナエス&西馬健史)、ベートーヴェンのヴァイオリン、チェロ、ピアノのための三重協奏曲(ヴァイオリン:豊島泰嗣、チェロ:上村昇、ピアノ:上野真)、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」


全席完売だが、今日はポディウム席は発売されていない。
今日は6列目の真ん中で聴く。ステージから近いが、管楽器の奏者は顔がよく見えないため、誰が吹いているのかわからない場合もある。


ヴィヴァルディの2つのトランペットのための協奏曲ハ長調。京都市交響楽団の首席トランペット奏者であるハラルド・ナエスが第1トランペットを、西馬健史が第2トランペットを務める。
日本でも屈指の輝きを誇る京都市交響楽団のトランペット陣。今日も燦燦と輝くような音を響かせる。
京都市交響楽団は小編成での演奏。西脇小百合がチェンバロを奏でる。生き生きとした伴奏であった。
弦楽奏者のビブラートであるが、統一されてはおらず、思い思いに弾いている。


ベートーヴェンの三重協奏曲の演奏前に、下野がマイクを手にして登場。舞台の転換作業の間をトークで繋ぐ。「京都市交響楽団常任しゅせ……、間違えました。なんとか指揮者の下野竜也です」とユーモアと込めた自己紹介した後で、ナエスと西馬をステージに呼び、ヴィヴァルディの2つのトランペットのための協奏曲ハ長調の思い出について語って貰う。二人ともこの曲を演奏するのは人生で2回目だそうだが、ナエスは1回目はパイプオルガンとの共演、西馬もピアノとの演奏があるだけであり、オーケストラをバックに演奏するのは初めてだそうである。


ベートーヴェンのヴァイオリン、チェロ、ピアノのための三重協奏曲。京都市交響楽団は近年、この曲を取り上げることが多い。
ピアノ三重奏にオーケストラ伴奏が付くという特異な協奏曲。ベートーヴェンがなぜこうした編成の曲を書いたのかは今でも謎であるが、チェロパートの比重が比較的大きく、演奏技術もチェロが最も高度であるため、チェロの名手から委嘱された可能性が高いとされている。
ヴァイオリンの豊島奏嗣、チェロの上村昇(京都市交響楽団首席チェロ奏者)、ピアノの上野真、更に指揮者の下野竜也も京都市立芸術大学の教員である。ということもあってか、室内楽的要素の強い親密な演奏が展開される。
下野指揮の京響であるが、渋めの音でスタートし、かなり豪快に鳴る。京響のパワーと下野のオケを鳴らす技術は想像以上であるようだ。


ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」。人気曲だけに実演で聴く機会も多いが、思いのほか名演に当たる確率が低いような気もしている。

下野はベートーヴェンとは真逆の明るい音色を京響から引き出す。流石の手腕だが、第1楽章のクライマックスなどでは全ての音を鳴らし過ぎたため、輪郭や主旋律の把握が難しくなっていた。

第2楽章と第3楽章は秀演で、第2楽章の深々とした歌、第3楽章の覇気に満ちた音楽運びなどが印象的である。

第4楽章も迫力があるが、音が大きい割りには客席に届くエネルギーが必ずしも十分ではないように感じされる。音の密度がそれほど濃いわけではないということも影響しているのかも知れない。京響のブラス陣は優秀で、力強さと浮遊感を兼ね備えた優れた音楽性を示していた。


下野は、「京都市交響楽団史上、最も短いアンコール曲」と語って、ベートーヴェンの「フィデリオ」より行進曲が演奏される。古典的造形美が強調された演奏で、ベートーヴェンの優美な一面を楽しむことが出来た。

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