コンサートの記(558) 「世界遺産コンサート 玉置浩二×西本智実 premium symphonic concert in 薬師寺 -PROLOGUE OF THE SILK ROAD RENAISSANCE-」追加公演
2019年4月29日 薬師寺大講堂前特設会場にて
午後6時30分から、薬師寺大講堂前特設ステージで、阪神・近鉄つながって10周年~阪神なんば線開業10周年記念「世界遺産コンサート in 薬師寺 玉置浩二×西本智実」を聴く。演奏はイルミナートフィルハーモニーオーケストラ、合唱はイルミナート合唱団。
開場は午後5時45分頃に行われたが、その直前から雨が降り始め、次第に雨量が増していく。
曲目は、ヴェルディの「アイーダ」より凱旋行進曲、玉置浩二のボーカルで「宙」「GOLD」、「Mr.LONELY」(連続ドラマ「こんな恋のはなし」主題歌)「プレゼント」「サーチライト」3曲のメドレー、「あこがれ」「ロマン」のメドレー、「FRIEND」、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲、ヴェルディの「ナブッコ」より「行け我が想いよ金の翼に乗って」、「夜来香」、玉置浩二のボーカルで「JUNK LAND」、「行かないで」(ドラマ「さよなら李香蘭」主題歌)、「ワインレッドの心」「じれったい」「悲しみにさよなら」3曲のメドレー、「夏の終わりのハーモニー」、「田園」(連続ドラマ「コーチ」主題歌)、ボロディンの「イーゴリ公」よりダッタン人の踊り。
昨日28日が当初予定されていた通りの公演であり、今日は追加公演となる。早めにチケットを取ったわけではないので端の方の席であり、ステージからは遠かったが、大型モニターが設置されているため、玉置浩二の表情などははっきりと確認出来る。
玉置浩二の目を見て、「最近、どこかで見たような目だな」と思ったのだが、目の表情が2ヶ月ほど前に見た興福寺阿修羅像によく似ていることに気づく。そっくりというわけではないのだが、同じ感情を湛えた眼差しであるように見受けられる。
「最も歌の上手い日本人男性ボーカリスト」として名前が挙げられることが多い玉置浩二。歌声を生で聴くのは初めてだが、とにかく純度の高い声であり、それだけでも特別な才能の持ち主であることが察せられる。舞台が薬師寺ということもあって、本当にコンサートというよりも仏教儀式の一つに立ち会っているような気持ちにさせられた。
近年、得意とするオペラやバレエに積極的に取り組んでいる西本智実。元々、大阪音楽大学の作曲専攻で「ヒットするポピュラー音楽の作り方」を研究しており、こうしたポップスとのクロスオーバーも得意としている。
イルミナートフィルハーモニーオーケストラもイルミナート合唱団も西本が創設した歴史の浅い団体だが、西本のドライブに従ってなかなかの演奏を展開。「アイーダ」の凱旋交響曲や「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲では艶やかな音による美麗な演奏を展開して聴かせる。
李香蘭が歌ってヒットさせた「夜来香」がオーケストラで演奏された後で、「JUNK LAND」を経てドラマ「さよなら李香蘭」の主題歌である「行かないで」という切なさが増す流れも良い。雨というシチュエーションもこの時に限っては良い。
玉置浩二最後の歌は「田園」。玉置が精神的な不調によって入院し、一時母親から「歌手を廃業して一緒に農業をやろう」と言われるまで落ちたところから復活した際に作った力強い曲である。今回はオーケストラの共演ということで、ベートーヴェンの「田園」の旋律を取り入れた編曲での演奏。玉置は、「愛はここにある。薬師寺にある」と歌詞を変えて歌い、客席も大いに沸く。ただ悪天候ということで、この曲が終わると同時に席を立つ人も多い。
ラストのダッタン人の踊りもスピード感と緊張感みなぎる快演だったのだが、玉置の「田園」をやった後の曲目としてはいささか長過ぎ、セレクトに失敗したようにも思われる。
ともあれ、薬師寺という雰囲気ある場所で行われるにふさわしい、ハイレベルなコンサートであった。
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