コンサートの記(572) billboard classics 「KOJI TAMAKI PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2019 THE EURASIAN RENAISSANCE “ロマーシカ” into the GOLD」大阪公演 2019.6.27
2019年6月27日 大阪・中之島のフェスティバルホールにて
午後7時から、大阪・中之島のフェスティバルホールで、billboard classics「KOJI TAMAKI PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2019 THE EURASIAN RENAISSANCE "ロマーシカ" Into the GOLD」を聴く。長いタイトルだが、要するに玉置浩二とオーケストラとの共演である。
ゴールデンウィークに、奈良・薬師寺の特設会場で西本智実指揮イルミナート・フィルハーモニーオーケストラと玉置浩二の共演も聴いているが、当日の薬師寺は雨で気温も低め、ということでレインコートを羽織っての参加となったが耐久レース状態でもあった。もっと集中して音楽を聴きたいということでフェスでのコンサートのチケットも取った。指揮が何度も実演に接している湯浅卓雄だったということもある。
大阪公演で共演するのは大阪フィルハーモニー交響楽団。コンサートマスターは田野倉雅秋である。
今回のツアーは、24日に福岡サンパレスでスタート。福岡公演(ビルボードクラシックオーケストラ)と大阪公演、札幌のニューホールであるhitaru(札幌交響楽団の演奏)、東京芸術劇場コンサートホール(東京フィル・ビルボードクラシックオーケストラと東京フィルハーモニー交響楽団が1日ずつ演奏を行う。両者は同一団体)、横浜の神奈川県民ホールでの公演(東京フィルハーモニー交響楽団)は湯浅卓雄が指揮、さいたま市の大宮ソニックシティでの公演(東京フィル・ビルボードクラシックオーケストラ)は円光寺雅彦が指揮を務め、改修を終えたばかりの名古屋・愛知県芸術劇場大ホールでの演奏会(ビルボードクラシックオーケストラ)では柳澤寿男がタクトを執る。その後に特別公演があり、玉置はデイヴィッド・ガルフォース指揮ロシア国立交響楽団《シンフォニック・カペレ》と共演する予定である。メインのタイトルとなる「ロマーシカ」は、ロシアの国花だそうである。
ちなみに、ロシア国立交響楽団《シンフォニック・カペレ》は、スヴェトラーノフ記念となっているいわゆるロシア国立交響楽団のことではなく、かつてロジェストヴェンスキーの手兵として知られたソビエト国立文化省交響楽団の現在の名称である。
今日の指揮者である湯浅卓雄は、1949年大阪府生まれ。枚方市と寝屋川市の境付近に生まれ、区画整理によって寝屋川市になった場所で生まれ育ったが、代々枚方の家系だそうで、枚方への思い入れをコンサート会場で語ったこともある。同志社香里高校卒業後に渡米、シンシナティ大学音楽院で作曲を専攻し、その後、ヨーロッパに渡ってウィーン国立音楽大学で指揮を学ぶ。NHK交響楽団名誉指揮者として知られたロヴロ・フォン・マタチッチのアシスタントとしても活躍。日本では1984年から5年間、群馬交響楽団の指揮者を務めているが、それ以外はヨーロッパでキャリアを築いている。イギリス・北アイルランドのアルスター管弦楽団首席客演指揮者時代にNAXOSレーベルと専属契約を結び、次々と新譜をリリースして日本でも知られるようになり、「頭脳流出」「逆輸入型」とも呼ばれていたマエストロである。21世紀に入ってからは在阪オーケストラへの客演も増え、センチュリー響とはブラームスとロベルト・シューマンの交響曲全集をリリースして好評を得ている。
今月29日にさいたま市大宮で予定されている玉置浩二の公演の指揮は円光寺雅彦に譲り、湯浅は30日に大阪フィルを指揮してベルリオーズの大曲「レクイエム」を上演する予定。フェスティバルホールの2700席はすでに完売である。
湯浅はずっと海外で活動していたため、玉置浩二のことは名前しか知らなかったそうである。
今日は2階5列目の24番という中央に近い場所での鑑賞。クラシックなら最上の音のする席の一つだと思われるが、プラグインでの公演なので状況が異なるかも知れない。
オーケストラとの共演で聞き映えのする作品ということで、バラードが中心であり、オーケストレーションが必要ということもあってか、薬師寺での公演と重なる曲も多い。
湯浅と大フィルによる「歓喜の歌」(管弦楽版)でスタート。その後、玉置が拍手を受けて登場し、「キラキラニコニコ」で歌が始まる。
「いつもどこかで」、「ぼくらは」、「MR.LONELY」~「プレゼント」~「サーチライチ」のメドレーを挟んで、「ロマン」、「FRIEND」で第1部が終了。
第2部は、湯浅と大フィルによるハチャトゥリアンの「スパルタクス」第2組曲より“スパルタクスとフリーギアのアダージョ”とスタートし、「GOLD」、「行かないで」、「JUNK LAND」、「ワインレッドの心」~「じれったい」~「悲しみにさよなら」のメドレーに続いて「夏の終わりのハーモニー」で本編が終わる。
フェスティバルホールでポピュラー音楽を聴くのは久しぶりということもあり、マイクにエコーが掛かりすぎているような気もしたが、ポピュラーとしてはこれが普通の音響なのかも知れない。
クラシック対応のフェスティバルホールということで、玉置が終盤に連続して行ったマイクなしでの歌唱もよく響く。ちなみに薬師寺でも同様のことを行っていたが、野外なので声が余り届かなかった。薬師寺では奉納演奏会の意味もあったが、やはりコンサートは優れた音響を持つ会場で行った方が良い。
「Mr.LONELY」、「FRIEND」、「行かないで」という染みる系の歌を再び聴けたのは嬉しいし、子供の頃に聴いた「ワインレッドの心」や「悲しみにさよなら」をオーケストラ伴奏で再度味わうことが出来たのは貴重な体験である。台風が近づき、大阪はG20でいつもとは違う表情を見せているという状況もあったが、ドラマティックな歌唱が胸に響く。いや、玉置浩二の歌は耳や心だけでなく、全身で聴くものなのだろう。安易に「感動」と言ってしまってはいけないのかも知れないが、体全体が揺さぶられるような感覚に何度も陥った。
玉置浩二は、ゴールドリボン募金の呼びかけ人ということで「夏の終わりのハーモニー」では歌詞の一部を「ゴールドリボンに」に変えて歌う。
「夏の終わりのハーモニー」が終わった後、玉置浩二と湯浅卓雄は腕を組んで至近距離で向かい合い、「さあ、これからどうする?」というポーズを見せる。無論、アンコールはあるのだが、ポーズである。
まず、湯浅と大フィルがベートーヴェンの交響曲第6番「田園」第1楽章を演奏。旋律の所々が玉置浩二の「田園」に置き換わる。玉置が登場して、「田園」の熱唱スタート。聴衆も全員が手拍子で盛り上げ、一体となる。玉置浩二は、サビの部分を「愛はここにある。大阪にある」に変えて歌い、1階席は総立ちの聴衆が大歓声を送った。
この曲で終わりでも良かったのだが、アンコール2曲目として「メロディー」が歌われる。玉置はこの曲もラストはマイクなしで歌った。
満面の笑顔を見せた玉置浩二は、最後はエアハグ(なのかな? 自分を抱く格好をする)などを行い、喝采と興奮の中、ステージを後にした。
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