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2019年8月23日 (金)

史の流れに(6) 大谷大学博物館 2019年度夏季企画展「近代の東本願寺と北海道 開教と開拓」

2019年8月4日 大谷大学博物館にて

大谷大学博物館で、2019年度夏季企画展「近代の東本願寺と北海道 開教と開拓」を観る。開催期間は過ぎているが、昨日と今日はオープンキャンパスに合わせた特別開館が行われている。

寒冷地である北陸を布教の拠点としていた真宗大谷派は、維新後、蝦夷地と呼ばれていた北海道の開拓に協力しており、真宗開拓団として多くの北陸人が北海道に渡り、当時の法主であった現如自らが北海道に渡って布教を行ったほか、札幌と尾去別(現在の伊達市)を結ぶ本願寺道路の開削なども門徒が行っている。真宗大谷派は、札幌に別院を置くことが認められたばかりで、本願寺道路は、いわば北海道に於ける真宗のデモストレーションでもあった。

北海道の名付け親であり、「北海道人」という号も名乗った松浦武四郎(松浦弘、阿倍弘、源弘)が本願寺道路を築く際にアドバイスを行ったとされており、松浦武四郎が残した蝦夷地開拓の史料なども多く展示されている。

寛政三奇人の一人であり、「海国兵談」を著した林子平は、早くから蝦夷地の開拓とアイヌ人の同化政策を提唱しているのだが、展示されている「三国通覧図説」においてアイヌのことを、「その性、愚」としており、愚人を日本流に教化すべしという趣旨のことが書かれていて、かなり差別的であることがわかる。実際、東本願寺もこうしたアイヌへの蔑視に則って開拓や同化に協力しており、闇の土蜘蛛事件(東本願寺爆破事件)の遠因となっている。
もっとも、日本人以外は「夷狄」と見る時代にあっては、林子平らの考えも特段差別的と考えられていなかったと思われる。

松浦は、アイヌの人々の案内で、後に北海道と呼ばれる蝦夷地を探索している。松浦は伊勢国松坂(現在の三重県松阪市)の郷士の家に生まれたが、浮世絵師をしていたこともあるということで、蝦夷地の自然や産物、アイヌの人々の家などを克明にスケッチしている。

東本願寺の北海道開拓とアイヌに対する姿勢については、2年ほど前に東本願寺のギャラリーで行われた展示を踏襲している。現如は北海道でアイヌに対する真宗の布教を行っているが、日本人が建物の中、一段高いところにいて、屋外の土にひざまずくアイヌに六字名号を授ける錦絵は、現在では差別的という捉え方をされているようだ。

午後4時少し前に大谷大学博物館に入り、50分ほど中にいて(最後の客であった)、入り口付近のモニターに映されているユーカラの録音が流れる映像を5分ほど見る。ユーカラは蓄音機に録音されたものであり、録音を行った北里闌(きたざと・たけし)は、北里柴三郎の従弟だそうである。

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