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2019年8月 1日 (木)

観劇感想精選(311) 黒柳徹子主演海外コメディシリーズ第29弾「ルーマーズ 口から耳へ、耳から口へ」2015

2015年6月4日 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて観劇

午後4時から、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで、黒柳徹子主演海外コメディシリーズ第29弾「ルーマーズ 口から耳へ、耳から口へ」を観る。喜劇王ニール・サイモンの戯曲の上演。黒柳徹子は今回の上演も含めて4度「ルーマーズ」の舞台で主演を務めているが、再演時と再々演時に演出を担当した高橋昌也が昨年逝去。しかし、今回の上演でも高橋の演出を踏襲して行われるため、演出と美術は高橋昌也とクレジットされている。演出補として演劇集団円の前川錬一(まえかわ・れんいち)が名を連ね、高橋の演出を尊重しつつ独自のカラーも出している。
テキスト日本語訳は黒田絵美子。
主演:黒柳徹子。出演:団時朗、かとうかず子、大森博史、茅島成美(かやしま・なるみ)、鶴田忍、平栗あつみ(ひらぐり・あつみ。演劇集団円会員)、石田登星(いしだ・とうせい。演劇集団円会員)、千葉ミハル(演劇集団円会員)、佐々木睦(ささき・むつみ。男性。演劇集団円会員)。
途中休憩を含めて上演時間2時間40分の大作である。

ニューヨークのチャールズ・ブロック(愛称はチャーリー)邸が舞台。ニューヨーク市長代理を務めているチャーリーと妻・マイラの結婚20周年を祝うパーティーが今夜ここで行われることになっていた。招待されたのは4組の夫婦、クリス(黒柳徹子)とケン(団時朗)のゴーマン夫妻、レナード(愛称はレニー、レン。大森博史)とクレア(かとうかず子)のガンツ夫妻、クッキー(茅島成美)とアーニーのキューザック夫妻、グレン(石田登星)とキャシー(本名はおそらくキャサリンだと思われる。平栗あつみ)のクーパー夫妻である。
まずチャーリー邸に着いたのは二人とも弁護士というゴーマン夫妻。しかし、チャーリー邸には夫人であるマイラはおらず、またフィリピン人のメイドも姿を消している。そして、2階の寝室で、チャーリーが左の耳たぶを拳銃で撃ち抜き、薬でフラフラになっているのを発見する。クリスはゴーマン家の主治医であるダドリー医師に電話をするのだが、このダドリー医師というのが尋常とは思えないほどの芝居好きで、今夜もブロードウェイでミュージカル「シカゴ」を観ており、劇場に電話をしても上演中ということでなかなか電話が繋がらない。何度か電話してようやくダドリー医師に電話が繋がるが、ケンは事を大きくしないために、拳銃で自殺を図ったのではなく、車から降りた際にすぐそばにあった階段から転げ落ちて頭を打ったということにしようと提案する。ただ、最初はクリスも「階段を駆け上がって頭を打った」とあり得ない状態を伝えてしまい、言い直す。ゴーマン夫妻はチャーリーのスキャンダルが広まらないよう、次にチャーリー邸を訪れたガンツ夫妻(来るときにレニーが運転している買ったばかりのBMWが横から飛び出してきたジャガーに追突され、レニーはむち打ち症を患う)にも最初は嘘を伝えるが、結局、状況を打ち明けることにする。レニーは公認会計士であり、チャーリーの主任会計士でもある。チャーリーの自殺未遂が巡り巡って自分の会計ミスという噂に繋がるかも知れない。ということで、ガンツ夫妻も三番目にチャーリー邸にやってきたキューザック夫妻に嘘をつく。ちなみにアーニー・キューザックは大学教授でもある精神科医、クッキー・キューザックは料理番組などでも活躍する料理専門家である。ゴーマン夫妻とガンツ夫妻は「サプライズで、チャーリーとマイラが1階に降りてくる前に皆で料理をする」と嘘をつく。だが、その時、拳銃の音のようなものが。チャーリーの拳銃を片付けようとしたケンが、けつまずいて耳のすぐそばで引き金を引いてしまったのだ。轟音により、ケンは一時的にではあるが耳が聞こえなくなってしまう。2階に行って状況を把握したレニーは、「ものが落ちた」と説明し、クリスやクレアは「ものが落ちて、シェービングの缶が暴発した」と補足をする。アーニーは「あれは拳銃の音だ」と納得しないが、結局は夫婦で料理をするためにキッチンに向かう。キッチンでも爆発が起こり、クッキーは手首に傷を負い、アーニーは指先を怪我する。だが、大したことはなかった。
そこにまた来客が。クリスもクレアもこれ以上状況がややこしくなるのは沢山なので二人でトイレに籠もってしまう。何度もチャイムが鳴る。キッチンからアーニーが出てきて、ドアを開ける。やってきたのはグレンとキャシーのクーパー夫妻。グレンは民主党に所属し、上院議員に立候補していた。そのクーパー夫妻であるが、互いに浮気を疑っており、仲が険悪である。チャーリー邸に入ってからも口喧嘩ばかり。キャシーは水晶を御守りとしていつも持っており、磨くためにトイレに入ろうとするが中から鍵が掛かっている。「誰かいるの?」と聞くキャシーにクリスが出てきて、キャシーとクリスは抱き合って挨拶する。だが、クリスが出てきてからもまたトイレには鍵が掛かっている。今度はクレアが中から出てきて……。

第2幕では、レニーがチャーリーが自殺未遂をしたようだということを全員に打ち明けた後からスタートするのだが、耳の聞こえないケンは「これ以上は我慢出来ない」と言って、レニーがしたのとほぼ同じと思われるような内容の告白をして笑いを誘う。
クーパー夫妻は相変わらず喧嘩を続けており、チャーリー邸を出て、グレンの車の中で口論をすることにする。キャシーはグレンの車に向かうついでにレニーのBMWを蹴っ飛ばす。
みな、何とか丸く収めようとしたが、なんとチャーリー邸にパトカーがやって来るのが見えた。4人の男達はうろたえて、「誰かがチャーリー役をやらねばならない」ということで、指を一本出すか二本出すかのゲームで、レニーがチャーリー役をやることになり、2階に上がっていた。ベン・ウェルシュ巡査(佐々木睦)とコニー・パドニー巡査(千葉ミハル)がチャーリー邸に入って来る。みな、状況を誤魔化そうとし、特にケンは弁護士であるためベンの言うことに一々文句を付ける。ケンは「少し時間をくれないか」といって、いったん警官二人を外に出す。だが、実は二人の警官がやって来たのはマイラがチャーリーにプレゼントしたジャガーが盗難に遭い、盗んで運転していた若い男がBMWと衝突事故を起こしたというので、BMWの持ち主であるレニーに話を伺うためだったのである。そのレニーがチャーリーということになっているため、この場にはいない。そこで今度はレニー役を誰かが演じる必要が生じ……。

9年前の2006年の公演も観ている芝居である。黒柳徹子も今年で82歳。「魔女」「黒船を見た女」などと呼ばれる黒柳も寄る年波には勝てず、セリフ回しも動きも以前に比べると弱っているのは否めない。

黒柳徹子は何をやっても黒柳徹子的ではあるが、私を含めて観客は「黒柳徹子を観に来ている」のであり、「黒柳徹子が黒柳徹子していること」はむしろ望ましい。
つかこうへいに見出され、小演劇で人気を得た平栗あつみも、もう結構な年である。9年前はまだ31歳になる直前だった私も初老になってしまった。
9年前にケンを演じていたのは喜劇を得意とする益岡徹である。団時朗のケンは益岡に比べるとコメディアン的演技は弱いが安定感はある。
演技のアンサンブルはまずまず。万全とはいえないかも知れないが、十分に楽しめる仕上がりになっている。なお、今日は最初のまだ舞台上には黒柳徹子と団時朗の二人だけのシーンで、黒柳徹子演じるクリスが民家用エレベーターで2階に上がり、2階バルコニーに足を置いた時に謎の巨大ブザー音が鳴り響いた。黒柳も団も客席も「?!」となったが、黒柳と団はそのまま演技を続けた。単なる音響のミスだったようである。

終演後、拍手は鳴り止まず、出演者達は4度のカーテンコールに応えた。大森博史は超長ゼリフを言うシーンがあるため、特別に一人だけ前に出て拍手を受けた。そして、黒柳徹子は昨年同様、人差し指で天を指し、天国の高橋昌也に敬意を表した。

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