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2019年8月 6日 (火)

コンサートの記(585) ザールブリュッケン室内合唱団京都公演2019

2019年7月29日 京都府立府民ホールアルティにて

午後7時から、京都御苑の西にある京都府立府民ホールアルティで、ザールブリュッケン室内合唱団の京都公演を聴く。

ドイツ西部、フランスとの国境近くにある街、ザールブリュッケン。スタニスラス・スクロヴァチェフスキとのコンビでレコーディングや来日演奏会を行ったザールブリュッケン放送交響楽団によって日本でも知名度が高まった街である。ザールブリュッケン室内合唱団(カンマーコア・ザールブリュッケン)は、1990年にゲオルク・グリュンによって組織された団体で、ドイツ国内を始めヨーロッパ諸国やアメリカ、ロシアなどでも高い評価を受けているという。古楽から現代音楽まで幅広いレパートリーを誇っているようだ。

 

曲目は、前半が、ブラームスの「なぜ、苦しむ人に光があたえられるのか」、松下耕の「慈しみのあるところ」「地上は暗闇となった」「いつまで、主よわたしを忘れておられるのか」「おお、救いのいけにえよ」「深き淵より」「我を救いたまえ」「主よ、わたしを平和の器とならせてください」。後半が、ブラームスの3つの歌(「夕べのセレナード」「ヴィネータ」「ダルトゥラの追悼の歌」)、レーガーの3つの合唱曲(「慰め」「夜に」「夕べの歌」)、マーラー作曲/クリトゥス・ゴットヴァルト編曲「夕映えの中で」(マーラーの交響曲第5番第4楽章アダージェットの編曲)、シェーンベルクの「地上の平和」

全曲、ゲオルク・グリュンの指揮である。多くのメンバーは紙の譜面を手にしているが、タブレットの電子譜を見ながら歌っているメンバーも5人ほどいた。
舞台中央やや下手寄りにグランドピアノが置かれているが、ピアノ伴奏があるのはレーガーの3つの合唱曲のみで、それ以外は女性メンバーが曲が始まる前に音の高さや調を確認するためにいくつか音を出すだけであり、無伴奏での合唱が行われる。
レーガーの3つの合唱曲でピアノを弾くのはメンバーの一人である男性。ザールブリュッケン室内合唱団の最新アルバムには、今回の演奏会とほぼ同じ曲目が収められているが、ピアノはイヴェット・キーファーとある。イヴェットというのは普通は女性のファーストネームなので、彼ではないようだが。

 

1962年生まれの作曲家である松下耕の作品が取り上げられているのが今回のプログラムの特徴である。ザールブリュッケン室内合唱団には日本人の男性歌手がおり、ゲオルク・グリュンの挨拶を日本語に訳していたが、「友人である松下耕の宗教合唱曲を日本で歌うことが出来てとても嬉しい」と語っていた。なお、「深き淵より」と「我を救いたまえ」はザールブリュッケン室内合唱団に贈られた作品のようである。
松下耕の作品であるが、歌に混ざってセリフのようなものが読み上げられたり、男性メンバーがホーミーを模す場面があったり、敢えて不安定な響きを作ったりと、現代音楽的な試みがいくつも見受けられる。

白人のメンバーが多いのだが、やはり体格が良いため声が体全体に響いていて神秘的な色合いや奥行きがあり、ピアニッシモの美しさなどが際立っている。日本人も昔に比べればかなり体格が良くなっているが、本当の意味で世界的に通用した歌手はまだ生まれておらず、白人に比べるとハンデがあるというのが現状のようだ。

 

マーラーのアダージェットをゴットヴァルトが合唱用に編曲した「夕映えの中で」。ゴットヴァルトはマーラーのオーケストレーションを忠実に声に移し替えることを試みたようで、女声パートがヴァイオリンとヴィオラ、男声パートがチェロとコントラバスの旋律を歌い上げる。かなり美しい仕上がりとなっており、ゴットヴァルトのチャレンジは成功したようだ。

 

京都公演ということで、アンコールとして京都府民謡が元となった「竹田の子守唄」が日本語で歌われる。抒情味溢れる合唱であった。

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