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2019年9月 5日 (木)

観劇感想精選(315) ロームシアター京都 「能楽チャリティ公演 ~被災地復興、京都からの祈り~」2019 第2部

2019年8月29日 左京区岡崎のロームシアター京都サウスホールにて観劇

午後6時30分から、ロームシアター京都サウスホールで、「能楽チャリティ公演 ~被災地復興、京都からの祈り~」2019 第2部を観る。

毎年恒例のロームシアター京都での能楽チャリティ公演。1日に昼夜の2回公演である。ただ昨年は台風が直撃し、公演自体は行われたが、私は行くとこが出来なかった。他のお客さんの多くも来られなかったようで、昨年度の募金額のみ例年より少なくなっている。

演目は、半能「賀茂」、狂言「呼声(よびこえ)」、能「善界(ぜがい)」

 

半能「賀茂」。上賀茂神社と下鴨神社の賀茂神社が舞台となっている。京都が舞台になっているため、景色がはっきり目に浮かぶ。
播磨・明石の室明神の神職が、京都の賀茂神社に参拝した時に、目の前に賀茂別雷神(上賀茂神社の祭神)と賀茂御祖神(下鴨神社の祭神=玉依姫)が現れて舞い始めるのを目にするという話である。
賀茂別雷大神は、雷の神様だが、雷は豊かな実りをもたらすとされ(故に「稲妻」である)、玉依姫は、神武天皇の母親にして物事の始まりを祝う神、ということで元号の移り変わりを寿ぐ演目として選ばれたのだと思われる。

 

狂言「呼声」。太郎冠者が勝手に旅に出てしまい、戻っては来たのだが、引きこもっていて、主人のところへ顔を出さない。そこで、主人が次郎冠者を連れて、太郎冠者の家に行き、呼びかけるが、太郎冠者は出て行ったら主人に大目玉を食らうことは目に見えているため、声音を変えて「太郎冠者はいない」と嘘をつく。太郎冠者は、自分は太郎冠者ではなく隣の者だと言い張る。
そこで、次郎冠者が平家節を歌うと太郎冠者も平家節で返し、主人が小歌節で呼び出すと太郎冠者も小歌節を歌う。そのうちに主人と次郎冠者が歌って踊り出すと、太郎冠者も誘い出されて一緒に踊り出し……、ってなんかこれ「天岩戸」っぽいなあ。
本当にそう意味で選ばれたのかどうかはわからないが、芸が物語を動かしていく話であり、猿楽を生んだ猿女の祖である天鈿女命の力を称える演目ともいえる。

 

能「善界」。中国の仏教界を堕落させた中国の天狗・善界坊は、次は日本の仏教界も堕落させようと企み、まず京・愛宕山の天狗である太郎坊に相談に出掛ける。太郎坊は比叡山が日本仏教の最高峰であると善界に教え、比叡山の僧正を標的にするよう進言する。
善界坊は、山から下りてきた僧正を攻略しようとするが、逆に仏法によって調伏される。

「日本は小国なれども神国として、仏法興隆の地なれば」という言葉が何度も繰り返される。今回は善界坊を自然災害に見立て、「災害に日本は負けない」というメッセージと祈りを込めて選ばれたのだと思われる。

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