コンサートの記(594) 大阪クラシック2019 第2公演&第4公演
2019年9月8日 大阪シティ信用金庫本店2階講堂と大阪市中央公会堂中集会室にて
午後1時から北浜にある大阪シティ信用金庫本店で行われる第2公演に向かう。第2公演は無料である。
大阪クラシックは、普段は演奏が行われない場所が用いられるのが楽しみの一つである。用がないので大阪シティ信用金庫本店には行ったことがないのだが、2階に講堂があり、ここで演奏が行われる。普段はまず入れない場所なので興味深い。
第2公演は、大阪交響楽団のメンバーによる室内楽演奏である。出演は、ホルン:細田昌弘&小曲善子、ヴァイオリン:里屋幸&吉岡克典、ヴィオラ:南條聖子、チェロ:大谷雄一。
曲目は、モーツァルトのディヴェルティメント第15番より第1楽章とベートーヴェンの2つのホルンと弦楽四重奏のための六重奏曲。
チェロの大谷雄一がマイクを手に曲目解説などを行う。弦楽四重奏と2つのホルンという編成のための曲はそれほど多くはないのだが、モーツァルトとベートーヴェンという二人の作曲家がそろってこの編成のための曲を書いているという。
モーツァルトのディヴェルティメント第15番第1楽章。音響設計がされていない会場ということで、弦がかさついて聞こえ、ホルンの不安定さも目立ってしまう。
ただ人間の耳というのは大したもので、ほどなくして環境に馴染んでしまい、音楽が良く聞こえ始める。
ということでベートーヴェンの2つのホルンと弦楽四重奏のための六重奏曲は満足して聴くことが出来た。
2つホルンと弦楽四重奏のための六重奏曲の第2楽章が始まって程なくして、上手の入り口から大植英次がすっと入ってくるのが目に入る。
演奏が終わると、大植英次がマイクを手にステージの前に進み、挨拶と大阪交響楽団の紹介を行う。大谷雄一は演奏が始まる前に「今日はアンコールはありません」と明言していたのだが、大植英次が「アンコール聴きたいですよね」と聴衆に聞いて無茶ぶり。ベートーヴェンの2つのホルンと弦楽四重奏のための六重奏曲より第3楽章がもう一度演奏された。
大植は「ベートーヴェンの年は来年(生誕250)なのだが、我々はいつも先取りして行う」と語っていた。また大阪交響楽団のモットーである「聴くものも、演奏するものも満足できる音楽を!」を絶賛し、「海外ではいつも使わせて貰ってます」「著作権はありませんよね」と語っていた。
第3公演も無料公演なのだが、スケジュールが重なっているため、そちらは聴かずに大阪市中央公会堂中集会室で行われる第4公演へと向かう。大阪フィルハーモニー交響楽団団員達による演奏で、これは1000円の有料公演である。
出演は、宮田英恵(ヴァイオリン)、石田聖子(チェロ)、宮本聖子(ピアノ)によるピアノトリオ。全員がベルリンへの留学経験があるため、ベルリン・トリオという名も名乗っているそうである。まず宮田英恵がスピーチを行うのだが、聖子が二人いたり、「宮」や「田」の字が重なっていて結構ややこしいという話から入って、曲目の解説を行う。
メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番とブラームスのピアノ三重奏曲第1番という、ピアノ三重奏曲第1番を重ねたプログラムである。宮田によるとメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番は、彼が二十歳の時に書かれたもので、二十歳というと普通はまだ若いと思われる年齢だが、メンデルスゾーンは38歳の若さで亡くなってしまうため、作曲家としてはすでに中期に差し掛かっていると見なされるそうである。
メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番は、仄暗い情熱を湛えた曲であり、メンデルスゾーンの早熟ぶりを窺うことが出来る。
ブラームスのピアノ三重奏曲第1番の前には、チェロの石田聖子がスピーチを行う。本来はメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番のみで収めようと思ったのだが、大阪クラシックの持ち時間は45分で、どれだけゆっくり演奏したとしても45分持たないということで、ブラームスのピアノ三重奏曲第1番も演奏することにしたという。ブラームスがピアノ三重奏曲第1番を作曲したのは21歳と若い頃だったのだが、その後に改訂され、今日演奏されるのもその改訂版だという。
スケールの大きな曲だが、ブラームスとしては開放的な曲調を持っており、メンデルスゾーンが「暗」、ブラームスが「陽」という一般的なイメージとは逆の楽曲で構成されているのが面白い。
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